だが、より子が一歩教会の門から外に出た瞬間
「・・・出てはいけない!!・・・」
「・・・出てはいけない!!・・・」
「・・・出てはいけない!!・・・」
まるで教会の鐘が鳴り響くかのごとく、大きな、恐ろしい声がより子に襲い掛かった!
あまりの声により子はしゃがみ込んで耳を塞いだ。
「ダ・・ダメ・・・コワイ・・・私、外に行けない・・・」
「より子ちゃん大丈夫?無理しなくていいんだよ。じゃあ、教会にもどろう?」
「ウン・・・」
二人はおとなしく教会の敷地に戻った。
涼にはこの恐ろしい声は聞こえていなかったが、強い波動を感じていた。
このせいでより子ちゃんが怖がっているのではないか・・・そう思い、周囲を見回した。
不気味にこちらを見ているガーゴイルと目が合った。
この敷地内にあと二人、声が聞こえた人物がいた。
ルーカ神父と、朽屋瑠子である。二人は教会内で霊力の特訓をしている最中であった。
「神父様!聞こえた?」
「朽屋クンにも聞こえたか。待て、私のガーゴイルが見る」
「ガゴちゃん・・・」
ルーカ神父のクレヤボヤンスによって偵察を開始するガーゴイル。
より子と涼の二人が何か話している。
涼は強いまなざしでガーゴイルをにらんでいる。
「あの少年はなかなか勘が鋭いようだな。だが彼の声ではない。
もっと恐ろしい巨大な力・・・」
残念ながらこの日、怪しい声の主を発見することはできずに終わった。
・・・・・・
4月、入学シーズン。
朽屋瑠子も小学校を卒業し、晴れて中学生として、ルーカ神父とより子のいるK女学園中等部に進学することとなった。
紺のブレザーにグレーのスカートの制服が初々しい。
この日の放課後は、学校の各部活が新入生獲得のためにいろいろプレゼンをやっていた。
朽屋はそれを興味深く見ながら学園内を散策した。

























kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!