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呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

H歯科医院
長編 2023/03/04 11:42 16,157view
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「は?」

あまりの急展開の診断に、佐伯は思わず驚きの声を漏らす。

「いや、他にいろいろ調べないんですか?レントゲンとか」

医師は相変わらず憮然とした態度のまま、
「調べる?
今さっき調べたじゃないですか。
だからすぐ抜きましょう」

と言うと椅子の横にある台の上に並ぶいくつかの鋭利な器具から、一つを手に取った。

それを見た途端、佐伯の背筋は凍りつく。

医師は右手にヤットコのような器具を握っていた。

「はい、大きく口を開いて」

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、待って下さい!」

そう言って佐伯は必死の表情で医師の顔を見る。

医師はそんな彼の様子に全く動じることなく、

「さあ、早く!
痛むんでしょ?」
と言って顔を近づけてくる。

佐伯はそれを避けるように反対方向を向き、

「あの麻酔とか、そんなのはしないんですか?」

と必死に訴えると医師は、

「麻酔?
うちでは、そんなことはしません。」

ときっぱり言い「さあ」と再び顔を近づけてくる。

佐伯は相変わらず口をしっかり閉じたまま、首を横に振っていた。

そんな彼の狼狽えぶりに医師は「しょうがないな」と呆れた様子で呟いた後、「お~い!」とどこかに向かって声をだす。

しばらくすると先ほどの看護師が診察室に入ってきて、医師の傍らに立った。

受付に座っている時は分からなかったが、看護師はかなりガタイが良く、背丈は天井に届くか?というくらいだ。

医師は看護師に何かひそひそと耳打ちした。

すると彼女は大きくうなずき、椅子にあらかじめ設置されている革のベルトで、素早く佐伯の腕を固定し始めた。

「おい、ちょっと、あんた、何を」

3/6
コメント(3)
  • kamaです。とても楽しく拝見させていただきました。
    文章うまいですね。小説読んでるみたいでした。
    ラストのオチは別の落ち方もつけられそうですが、おもしろかったです。
    なんならこの家族シリーズをまた読みたいです。

    2023/03/04/18:50
  • ヤバ医者ですね。気をつけましょう。

    2023/05/13/10:31
  • 怖いですね。残留思念のようなものでしょうか?

    2023/05/13/10:38

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