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妖怪・風習・伝奇

ぴさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

二度救われた命
長編 2023/03/10 17:03 11,417view
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あとで聞いた話、どうやら土砂崩れは昨晩起こったものらしかったです。

道が寸断されて酷い状態でした。

そしてその土砂崩れが起こった時刻というのが本来私たちが家に帰る予定の時間帯らしいのです。

それを聞いて、家族みんなで鳥肌が止まらなくなりました。

私たち家族はあのままここから帰っていたら、土砂崩れに巻き込まれて、呆気なく死んでいた可能性が高いです。

そしてあの夜、狐のお面の人からうまく逃げ切れなかったら、私は何らかの形で死んでいたのではないかと思うのです。

あの日、私は火の玉に二度も命を救われたのです。

祖母の言う通りにその日の内に家に帰らなかったことで、私たち家族は土砂崩れに巻き込まれるという最悪の事態を防げました。

大きな木の肥やしにされそうになったときに、助けてくれたのも火の玉です。

あの狐のお面の女性は人外の者だったと私は思っています。

そしてあのまま火の玉の助けがなく、木の肥やしにされていたとしたら、あの苦しそうな子供たちの仲間入りをしていたんじゃないかと思うのです。

あのようなことがあり、私は祖母の家に行くときは、必ず山の神様にお礼をしています。

いつもお酒やお菓子をお供えして、礼を尽くします。

祖母はあの日赤い火の玉を悪いものだと思いました。

火の玉占いで、真っ赤な炎が燃え上がると何か災いが起こる前触れと聞いたことがあったからです。

でも調べてみると、そこでは代々山の神様は迷える魂の姿で、人を救うと伝えられている伝承もあるらしいのです。

嘘か本当かは分かりませんが、昔あの地域では祭りの日集落一の大きな木の下に、子供を木に吊るして捧げる怖い風習があったらしいです。

もしかしたらあの日の捧げものに選ばれたのは、私だったのかもしれません。

そして可哀そうに思って命を助けてくれたのは、山の神様だと信じたいです。

6/6
コメント(1)
  • 真っ赤に燃え上がると災いが起きるのではなく、
    災いがすでに起きていてその怪異から守ろうとして燃え上がってるのかな

    お祭りの誘惑に負けたりして助からなかったケースが凶事として言い伝えられてるのかもね

    2023/10/05/11:19

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