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妖怪・風習・伝奇

ぴさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

二度救われた命
長編 2023/03/10 17:03 11,414view
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そして慌てたように、私を木陰に隠すように先導しました。

そのまま行けばもうすぐ家なのにと思いましたが、少し悩んで火の玉を追いかけました。

この火の玉のおかげで、逃げられたのです。

それを信じないといけないと私は本能的に察知しました。

そして誘導されたとおりに木陰に隠れたときです。

私が逃げてきた方向の草むらがさわさわと揺れ出したと思うと、大きな動物が現れたのです。

驚いて声を上げななかった自分を褒めてあげたいくらいにそれは衝撃的でした。

私が見たのは真っ白い毛並みの大きな動物です。

あとで動物図鑑を探してみたけど、何の動物にも当てはまらない顔をしていたのです。

美しい毛並みだけど、禍々しいと思うくらいに真っ赤な目をしていました。

その動物はまるで何かを追いかけるように、まっすぐに駆けていき、火の玉がいなければそのまま私が進もうとしていた道に走り去っていきました。

しばらくそこでドキドキしながら、じっと隠れていたのです。

火の玉がごうっと明るくなるまで、息を殺してそこに隠れていました。

その後、火の玉がまた動き出し、私はそれにひたすら着いていきました。

火の玉の明かりで、私は見なくてもいいものをちらりと見たのです。

見たこともない大きな動物が通った後に、私は見覚えのある狐のお面が落ちているのを見かけました。

それを見て、あの狐のお面の人の正体に気づくことができました。

私が家にまで辿り着くと、火の玉はまるで役目を終えたかのようにスーッと暗闇に消えてしまいました。

私はなんとか祖母の家に辿り着き、そして元居た部屋に戻って、ぐっすりと眠り直しました。

あんなに怖かったのに、寝入るまでには時間がかからず、起きて気づいたらもう朝になっていました。

朝になって、全部夢だったのかもと私は思いかけました。

それくらいにありえない話と思ったからです。

でも自分の足首を見て、夢じゃないと分かります。

だって足首には何かに締め付けられたようなあのあざがくっきりと残っていたからです。

それは痛々しいくらいにくっきり付いており、あれが夢じゃなかったことを私に教えてくれました。

自分の身に起きたことがあまりに怖い出来事すぎて、私はこの日誰にもこの話はできませんでした。

人に話してしまうと、また狐のお面の人に連れ去られてしまいそうな恐怖を感じたからです。

両親にも兄にもそして祖母にもその話はできませんでした。

その日なのですが、私たちはすぐには家に帰れなくなりました。

理由は途中の道に、土砂崩れが起きており、通行止めになったからでした。

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コメント(1)
  • 真っ赤に燃え上がると災いが起きるのではなく、
    災いがすでに起きていてその怪異から守ろうとして燃え上がってるのかな

    お祭りの誘惑に負けたりして助からなかったケースが凶事として言い伝えられてるのかもね

    2023/10/05/11:19

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