謎の声
投稿者:レヴァント (1)
高校生の時、母と私と妹は町から離れた山の中にある祖父母の家で暮らしていました。
私と妹の部屋は縁側がある日当たりのいい和室でした。
春先のある日次の日が休日だったのもあり私は夜更かしをしていました。
家の中で起きていたのは私だけで、祖父母と母は別室で、妹は私の隣の布団で眠っていました。
夜中の2時か3時か今思えば丑三つ時といわれるような時間だったと思います。
夜更かしして本を読んでいたのですが、突然何か分からないけど怖いものが山の中から家に向かって来ていると感じたのです。
怖くなり電気を消して布団の中にもぐりこみ目を閉じてじっとしていると、スーッと部屋の温度が下がり真冬のような空気になりました。
その後縁側のガラス障子が激しく、ガタガタと地震などの揺れは何も感じないのに揺れだし、何かが家の中に入ってきたのだと感じると同時に、私は金縛りになり体が全く動かせなくなりました。
怖くて目を開ける事ができないし、金縛りで体を動かす事もできないし、どうすることもできずに恐怖に耐えていると突然耳元で女性のうめき声がしだしたのです。
言葉にはなっていない、かすれた女性のうめき声が聞こえだし、恐怖と金縛りで硬直していました。
どのくらい時間がたったのか分かりませんが声が聞こえなくなり、部屋から出て行った感じがありましたが、家の中にはまだいる気がして動くことができませんでした。
しばらく経つと家からも出て行ったように感じました。
部屋の温度も戻りいつのまにか金縛りも解けていました。
布団からおそるおそる出て電気をつけるとあんなに大きな音でガラス障子が揺れていたにもかかわらず妹はすやすやと寝たままで、祖父母も母も起きている様子はありませんでした。
朝家族全員にこの体験を話しても誰も何も感じなかったようでしたが、祖父だけは、その何かが来た方向と出て行った方向、また、女の人のうめき声だったと話すと、思い当たる事があるような顔をして、「大丈夫、じいちゃんがどうにかする」と言っていました。
私は怖くてそれから祖父が何をしたのかは聞かなかったし、知ろうとも思いませんでした。
それでもそれ以降祖父母の家で怖い思いをしたことは一度もありませんでした。
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