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心霊

takeさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

シャワー室の怪異
短編 2023/03/03 11:49 1,794view
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友人のYから聞いた話です。
彼が高校時代、所属していたサッカー部の夏合宿に参加したときのこと。
一年生だった彼は、練習後の片付けをし、
先輩たちの後にシャワーを浴びることになっています。
少し遅れて彼がシャワー室に行った時は、他の一年生たちはシャワーを浴び終え、
誰もいなかったそうです。

シャワー室は、仕切りのついた半個室で、頭と足の見えるタイプの扉でした。
頭を洗っていると、シャワー室に誰かが入ってくる気配がします。

その誰かは、隣のブースに入り、湯を出し始めました。
とくに気にも留めず、頭を洗い終え、体も洗い始めましたが、

隣の水音に違和感を覚えました。

頭や体を洗っていると、バシャバシャと水が跳ね返ったり、どこかを洗っているような『動き』が感じられるものですが、いっさいそういうものが伝わってきません。
立ち尽くして湯を浴びているにしても、頭や体を湯が跳ね返る音がするはずです。

Yが怪訝に思った時、隣のシャワー音が止みました。
ガタン、と音を立てて扉が開き、何者かはブースから出てきたようです。

位置の関係上、シャワー室を出るにはYの使っているブースの前を通ることになります。
Yは体の泡を流しながら、肩越しにちらりと背後を振り返りました。
ぺたぺたと、濡れた床を歩く足音はしているのに、扉越しに通り過ぎるはずの頭と顔は見えません。

え? と思って下を見ると、前で足音が止まりました。
扉の下から見える足は煤けたように真っ黒だったそうです。

そういう悪ふざけをしそうなチームメイトはたくさんいました。
「なに馬鹿なことやってんだよ」と声をかけると、
ゆっくりとつま先がこちらを向きましたが、相手は黙ったままです。

相変わらず頭と顔は見えませんが、体を屈めているのだと思い、
「あのなあ……」と苦笑しつつ、扉の上から覗き込んで、息を呑みました。

誰もいなかったのです。

驚いて飛び下がると、扉の下からは足だけは見えています。
恐怖に固まっていると、また足は向きを変え、ぺたぺたと音を立ててシャワー室を出ていったそうです。

「変に声をかけて関わるもんじゃねえな」
Yはそう言って肩をすくめました。

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関連タグ: #声#夏
コメント(1)
  • シンプルだけどこれぞ怪談って感じでイイ!

    2023/03/04/11:12

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