私って見えないはずよね
投稿者:月子 (9)
『ねぇ、ねぇばあちゃん!!倒れてる人がいる、助けてあげなきゃ死んじゃう!!』
と伝えました。
祖母は一瞬焦って、その人はどこだと聞きました。
私は倒れているその人の方を指して、
『救急車呼ばなきゃ、はやく、』と急かしました。
私が指を向けた方を見た祖母は、少し黙ってから
「ありゃあいかんな。…〇〇ちゃん、いかんよ」
と私の手を強く握りました。
いかん、というのは、方言です。
【だめ】って意味ですね。
【行かない】という意味で使うときもありますよ。
いかんってなんじゃそれと思った私は、
『なにがいかんの、助けん方がいかんやろ』
と、もう一度その人の方を見ました。
いませんでした。
怖い話が好きになった今では、ベタな展開だなぁと思うことができますよ。
でも当時の私は怖い話が苦手な、か弱くって可愛い少女でしたから、
体の底からびりっと冷えたような衝撃を受けました。
さっきまで確かにいたはずの倒れていた人間が、
一瞬で居なくなっただなんて、怖い話でしかないでしょう。
私は祖母に思い切り抱きついて恐怖を紛らわせました。
「ええか、あの人はなんも悪くないから、怒ったりはしたらいかん。〇〇ちゃんは優しいから、許してあげてなぁ」
と祖母から言われて、頷くしかできませんでした。
ビビり過ぎて泣くこともできなかったです。
その後震えながらもなんとか資料館に辿り着き、見学を始めました。
壁に広がる凄惨な光景を説明する文章、
それが事実であったことを確かに証明する展示物のなかには、
原爆の被害者の写真や、残された衣服なんかもありました。
つらかったろうに、あんな最期を迎えて、無念だったろうに…
慎んでご冥福をお祈りします。そして二度とあの様な惨事が起こりませぬ様祈るばかりです。
えぇそうですね、2度と核の脅威に怯えなくても良い世界になる事を祈らなくては…
ご冥福お祈りします
私も今度行ったらちゃんともっと良い世界になるように祈ります