処刑された女性の霊
投稿者:りー (118)
短編
2023/01/06
16:16
1,124view
私の家の近くには竹藪があります。小高い丘の上にあって鬱蒼と茂ったそこは昼間でも薄暗くあまり人も立ち寄りません。噂によるとそこは昔処刑場だったそうです。
高校生の頃、暑い夏の日に偶然竹藪のそばを通りかかった時、ふと視線を感じました。竹藪に誰かいるのかと見渡してみますが誰もいません。気のせいかと思っていたら今度はすすり泣く声が聞こえます。絶対に誰か居て、しかもただ事では無いと感じました。何か事件にでも巻き込まれて困っているのではと思い、恐る恐るですが竹藪の中へ入って行きました。
中に入ると外から隔絶された様な不思議な雰囲気です。「誰かいるんですか?」と呼んだら横から泣き声が聞こえました。見ると女性と目が合いました。そこには首だけで浮かぶ髪の長い女性がいたのです。悲鳴をあげた私は一目散に外に出ました。幽霊を見てしまったと全身を震えさせていましたが、少し冷静になってみると、女性はとても悲しい顔をしていた事を思い出しました。
きっとかつてこの場所で処刑された人だったのでしょう。そして未だに成仏出来ず留まったままだと思うと、何だか可哀想になりました。私は竹藪に手を合わせ帰路に着きました。あれ以来竹藪には近づかないようにしています。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 12票
慎んでご冥福をお祈り致します。