より子ちゃん (クリスマス特装バージョン)
投稿者:kana (210)
今日は12月24日。クリスマイブである。
今年小学校に上がった息子が、さっそくクラスメイトをたくさん引き連れて
クリスマスパーティーを開くことになった。
「ボクが小学生の頃なんて、こんなに友達いなかったなぁ・・・」
息子が幸せそうな学校生活をスタートさせているのを見ながら、
ボクはあることを思い出していた。
小さい頃、ボクは体が弱く、病院の先生からは「ハタチまで生きられないかもしれない」と言われていたらしい。
…らしいというのは、ボクがハタチの誕生日を迎えた時に、母親から涙ながらにそのことを聞かされて初めて知ったからだ。
確かにボクは小さいころ病弱だったけれど、まさかそこまでひどい病状だったなんて、それまで一度もそんなことを言われたことがなく、
今にして思えば両親はボクの病気の事を隠して、懸命に支えてくれていたんだな、と思う。
その事にはもちろん感謝している。こうして自分自身が親になってみると、やっぱり子供の幸せな未来を夢見るのが親というものなんだなと、
改めて実感がわいてくる。
ただ、ボクも実は両親には隠していたことがあった。
それは「より子ちゃん」の存在だ。
あれは11月も終わろうとする頃だ。
小さなボクを連れてS大学病院を訪れた母は、その帰りに教会の前で足を止めた。
別にクリスチャンではないのだが、教会はもうすぐやってくるクリスマスの準備で
キレイにイルミネーションで飾られ、しかもこの日はバザーが開かれていたのだ。
信者の人たちが持ち寄ったのか、教会はまるでフリーマーケットの様相。
教会とつながるキリスト教系の女子高からも応援がきており、
屋台も出ていて学園祭のような賑わいでもある。
「ねぇ、ちょっと見ていこうか」
と母は目を輝かせてボクを誘ってきた。
うれしそうな母の顔を見てボクも喜んで教会に足を踏み入れた。
しばらくして、やはりというか、体力のないボクにバザーを見て回る力はなく、
ボクはすぐさま座れるところを探して一休みすることにした。
そこは教会である。信者の人たちが座る場所がいくらでも用意されていた。
ボクは母に「ここにいるから見て来ていいよ」と言ってあげた。
いつものことである。もう慣れっこだ。
しばらくひとりで椅子に腰かけ、ぼんやりとステンドグラスやキリストの像を眺めていた。
キレイなものである。
kamaです。
一部誤字脱字などを修正いたしました。また最初に6ページ目まで少し飛び出していたのですが、改行位置を改善したり余分な行を減らしたりして5ページに減量出来ました。
また、もともとの作品では小学生時代は「より子ちゃん」中学生~大人のセリフでは「頼子ちゃん」としていたものを「より子ちゃん」に統一しました。もしかしてどこかにまだ残骸が残っているかもしれませんので、万が一見つけた方はご報告よろしくお願いします。
素敵なお話でした。
↑kamaです。ありがとうございます。
この話はぜんぜん怖くないので、「怖いに投票する」ボタンが押しにくいですよねぇ。
よかったらかまわず押して行ってください。
先生、このシリーズ?も気が向いたら来年もたまに投稿するみたいな感じですか?
↑kamaです。先生ってボクのことですか?初めて言われたからこっぱずかしいです。
このお話は来年早々、少し動きがありそうです。
あと、実はこのお話には企画段階でいろいろなエンドを用意する案もありました。
まぁでも、割とファンの方もいますので、今のところはファンの方の夢を壊さないようにしたいと思っています。
解説ってあるんですか?
↑kamaです。
年初早々に動き・・・と書いたのですが、長くなってきていますので、
少し時間がかかっています。
あと、今回はクリスマスバージョンとして出したのですが、
クリスマスじゃない普通の話も出しておくべきかと思い、そちらも現在準備中です。
解説はまた回答編を用意しようと思います。