「山に一緒に遊びに行ったあと、ボク、また足が取れちゃって・・・
でもおじいちゃんがまた治してくれたんだよ!
スゴイでしょ、ボクのおじいちゃん!」
「そうか・・・すごいなおじいちゃんは・・・」
「でもね、ほら見て、ボクまた足が全部とれちゃったんだ。
だからおじいちゃんに早く治してもらいたくて・・・」
「そうか。・・・よしわかった。おじいちゃんは今、
山に行ってるから、代わりにお姉ちゃんが元通りにしてあげるよ」
「ホント!?」
仔犬の霊がしっぽを振っている。
朽屋は仔犬を胸元に抱いたまま、また二言、三言口ずさみ、唱える。
「汚れし思念を浄化し、元の在り様に戻したまえ」指で空を切る。
仔犬の霊が青白い光に包まれたかと思うと、次の瞬間には四つ足が戻り、
元の美しい犬の形になった。
仔犬がいやいやをするようにつっぱるので、朽屋は抱くのをやめた。
すると仔犬は、元に戻った体で室内を思い切り走り回った。
よっぽど走れるのがうれしいらしい。すごいスピードだ。
そして朽屋の前に戻って来て、見つめながらこう言った。
「スゴイ!お姉ちゃんもスゴイ!人間ってスゴイんだね!人間大好き!!」
朽屋は少し後ろめたい気持ちになっていた。
人間はそんなに素晴らしい物じゃない。
仔犬の足を切り落としたのだってノテさんに違いない。
彼は犬を虐待死させたことから憑りつかれたと和尚に相談していたのだ。
それがどうだ。
本当は憑りついていたのではない。
甘えていたのだ。生きていた時のままに。
「・・・ごめんな、わんちゃん。そんなに人間が好きなら
次は人間に生まれてくるかい?」
仔犬は何も言わなかったが、しっぽを激しく振って笑顔になっていた。
「次はもっと幸せになるんだよ」
そう言って朽屋はまた呪文のようなものを唱えだした。
魂の昇華だ。
仔犬は暖かい光の粒子になって、空に登って行った。
朽屋は斉門和尚から預かった数珠を持ち、その空間に向かって手を合わせた。






















kamaです。
こちらのお話を読む前に、私の投稿した「狩り宿の男」と「狩りの真実」をお読みになられると、前日譚としてより作品が楽しく読めると思います。
よろしくお願いします。
kamaです。
主人公の朽屋瑠子の声は、にじさんじのVtuber、レイン・パターソンさんの声をイメージしながら書きました。
前日譚とどちらも読ませていただきました!
とても読んでいて夢中になれる文章で素敵でした…..!
描写が細かくて、情景がわかりやすく脳裏に浮かんできて読みやすかったです!
続きも楽しみにしてます、!
↑kamaです。たくさん読んでいただいてありがとうございます。感謝!!
次回の予定は来年ですか?
↑kamaです。
次回作は来年になりそうですね。
他にも投稿しておきたい作品がたくさんありますので、次回のクッチャルコはお正月休みにじっくり書きたいと思います。
そう言えば確か以前に猪にまつわる話を投稿されましたが「殺生石」の周りで猪の死骸が発見したみたいだな。
↑なんだか意味深ですね。
おちゃらけて始まったから笑える話かなと思ったら
途中「スゴイ!お姉ちゃんもスゴイ!人間ってスゴイんだね!人間大好き!!」って子犬のセリフで
(´;ω;`)ブワッ ってなった。
↑kamaです。ありがとうございます。犬好きな人にはかわいそうなシーンもあり、申し訳ないです。
kamaです。
19ページ目にあった
「実は朽屋が寝てしまったあとにリーダーがあれこれいじりまわして遊んでいたらしい。」
という文章は、リーダーが朽屋の体をいじってるようにも読めてセンシティブでしたので、
「実は朽屋が眠っている間にリーダーがこのライフルをいじりまわして遊んでいたらしい。」
に変更させていただきました。
投稿後にも変更できるのが奇々怪々さんのいいところですね。
一昔前のSSをみたいで読みやすくて面白いです。クッチャルコはそのうち「キミたち〜!」とか言い始めるんですか?w
↑kamaです。どこかでいれますかw
獣医の犬の話しとか犬系多いですね
犬飼ってるんですか?
↑kamaです。
今は飼ってませんが犬も猫も鳥もハムスターも飼ってたことがあります。
普通におもしろい
内容もしっかりしてる