人違いで殺されかけた話
投稿者:with (43)
男は叫んでいたが、俺は無心で公道まで走り抜け、人混みに紛れる。
そして、走りながら携帯を取り出し、すぐさま交番に電話を掛けた。
途中、走っているせいで携帯のボタンを何度も押し間違えたが、五・六回目でやっと履歴を開くことができ、そのままリダイヤルした。
それで、お巡りさんが電話に出た途端にすぐ「助けてください!」と全力で訴えた。
何でか分からないが『〇〇さん?どうされました?』と何度も聞き返されたが、俺は必死に「助けてくれ」「男に追われている」という旨を繰り返し伝えた。
後でお巡りさんに聞いたが、俺の声は殆ど鼻息や呼吸音で何を言ってるか聞き取れなかったから苦労したと言ってた。
それで俺は自分の居場所を聞かれたので「自宅近くです!」と素直に答えたのだが、お巡りさんは最寄り駅を聞いてきた。
それで最寄り駅に交番があると聞いたので、そういえばあったなと思いつつ、そこに避難できるなら避難するように言われ、全力疾走した。
交番が見えると話が伝わっていたのか、交番前に立っていた強面のお巡りさんに迎え入れられるように保護されると、その強面のお巡りさんは無線で何かを報告していた。
それで、しばらくして強面さんが「もう大丈夫ですよ」と言ってきたので、俺は「へ?」と情けない声を上げて聞き返した。
どうやら男は確保されそうだ。
と言うか、普通に刃物をかざして出歩いているのを見かけた通行人らが通報していたそうなので、入れ違いで現場に向かった他のお巡りさんが捕まえたらしい。
あの男はどうやら俺を見つける以前から刃物を持ち歩いていたそうだ。
さすがに銃刀法違反もあってか、今度こそ男は逮捕された。
まあ、しばらくはあっちの病院送りだろうが、俺は改めて男の家族から正式に謝罪される事になって、その時に引っ越し費用や慰謝料という名の現金を頂くことになった。
と言っても、男の境遇が境遇だけにやりきれない思いはあったが、これは俺が殺されそうになったことへの正当な対価として受け取ったほうがいいとお巡りさんに言われたので素直に貰っておいた。
「…てな事があった」
俺は今度こそこれでおしまいだと友達に全てを語った。
「なんかすげえ。何て言っていいかわからんけど、すげえ」
友達は語彙力を失った変わりにやたら「すげえ」と俺の事を憐れんでいた。
今回は命を対価に臨時収入を得たので、俺が友達に奢ることにした。
まあこんな経験はもう二度と無いだろうが、身近な人の死が人をあそこまで壊す事を知った貴重な体験となった。
どんな理由にせよ助かって良かったです。
幽霊より怖いわ
文章上手いし読みやすかった
友人の反応からガチな感じする
やっぱり一番怖いのは生きている人間ですね
人違いなのにこんなんに目付けられたら溜まったもんじゃないね…
友達が黒幕ってことか
友達サイコパス。
もう死刑でいいだろ
頭イカれてるやつは終身刑にしてほしいね
そうゆう奴は死刑だろ
加害の可能性がある基地を野放しとは…。どんな事情とかは人違いで襲われた方には知ったこっちゃないし、ホンモノの娘の加害者と同じ檻ん中入れて勝手にやっちゃってくれればいいよと言いたくなるな。