違和感
投稿者:百夜 (1)
ない。無論、その着物姿の女には
首から上が無かったからである。
Nさんは焦りつつも、スマートフォンに視界を集中させ「それ」を見ないように努めた。
しかし、視界の端からその女が何回も石段の近くの端から端の行き来しているのが確認できる。
Nさんは気づいてないふりをした。
何分、いや何十分そんな状態が続いただろう。いきなり「それ」の気配が消えた。
と同時に正面のさっきまで「それ」がいた場所から、聞きなれた男女の声がする。目の前からは
いつもつるんでいる男女がこちらに歩いてきている。その時Nさんは、普段うるさい位の仲間の
声にどれだけ安堵しただろうか。
と思ったのも束の間、Nさんはそこである違和感を感じた。その違和感は、今自分の所へ向かっ
てこようとしている仲間からだった。人数がい6人より多い気がする、、、そう感じた。
Nさんは車から降り、皆の元へ駆け出した。そして
「お前ら!ここまじでやばいと思う、まじで早く帰ろう!」
と真剣な眼差しかつ、焦りが生じて早口気味で言った。すると、はたまたA男が
「ほらな!だから言っただろぉ車でいる方が怖いって!」
と茶化し気味で言った。Nさんは焦り口調で
「違う!そうじゃない!説明は後で話すからとりあえずまじで帰ろう!」と急かす。
するとやっとNさんの必死さが伝わったのか皆次第に恐怖を覚えだし車に乗ることにした。
「分かったら早く帰るぞ、それと車二台で来たから帰り何かあったら困るから、お互い連絡が
取り合えるように前後の車同士で通話繋げたまま帰るぞ!わかったな!」
皆理解し早急に車に乗り発進させた。そして来た道を引き返す感じで車を走らせ、やっと町の道
路に出たころだった。
Nさんが乗っていたのは二台目の車で、Nさんを含め三人だった。Nさんは後部座席に乗りながら
前方に車を運転しているA男と通話で連絡を取り合っていた。
「何も問題ないか?」
とNさんは心配そうに問いかける。するとA男から
「今のところ何もないぞ?流石に大げさすぎないかお前?」
と冗談交じりの言葉が返ってきた。
「何もないならそれでいい。とにかく気を付けて走ってくれ」
とNさんは相変わらず緊張した面持ちで答える。
ちゃんとお祓いなどして助かったでしょうかね。
地元の人でも怖くて近づけない八王子城址ですかね?数百年経っても恨みが消えない禍々しさですね。
後日談になりますが、二週間ほどA男という方は、手形の跡が取れなかったそうです。