違和感
投稿者:百夜 (1)
車を走らせて30分くらいした頃、Nさんが不意に前方の車の後部座席に目をやった。
その時Nさんは、今度は違和感ではなく決定的なものを目の当たりにした。そして、前にいる男
友達二人に冷静さを保ちつつ
「なぁ、前のあいつらの車さ、四人しか乗ってないよな?」
と聞くと、運転しているE男が
「当たり前だろ?運転してるのがA男だろ?助手席にB子で、後ろにC男とD子のバカップルが
乗ってんじゃん」
と返す。するとNさんは、もう焦りを隠せず
「いや、おかしいだろ!!後部座席に見える頭の影、、、三つに見えんぞ!!お前ら本当に見え
ないのか!?」
するとE男と助手席のF子がその異変に気付いたのか、顔が凍り付く。Nさんはその旨を前方を運
転しているA男に知らせようとした矢先、前方の車が止まっていた信号を無視して急発進で走り
出した。Nさんは焦りスマートフォンへ向かって、
「お前ら何してるんだ!?」
と大声で言う。すると運転しているA男から「え?」と聞こえ、前方の車がブレーキをかけるの
が分かった。その刹那、、A男達が乗っている車の前ギリギリを大型のコンテナトラックが勢い
よく通り過ぎた。あと数秒、いやあとコンマ数秒ブレーキが遅れていたら、A男達は完璧に帰ら
ぬ人となっていた。Nさんは大量の冷や汗をかきながら
「何やってんだ!?」
と怒号を浴びせた。スマートフォン画面の向こう側からは、B子やD子の鳴き声が聞こえた。
A男も今にも泣きそうな声で
「ごめん、、、気づいたらアクセル踏んでたんだ、、、、自分でもまじでなんでかわかんねぇ
、、、」
と呟いた。その後全員少し落ち着くために、近くのコンビニへ車を止めた。
車を降りたNさんは、他の6人の顔をうかがった。皆、恐怖と緊張で暗い面持ちだった。するとA
男が顔面蒼白かつ震えた声で
「肩が、、、、肩がさ、、、なんか痛いっていうか重いっていうかさぁ、、、」
と訴える。念のためと思い、NさんはA男の服を脱がせ左肩を見た。
その瞬間その場にいた全員がより一層恐怖に包まれ、ある者はかすれた声で悲鳴をあげ、またあ
ちゃんとお祓いなどして助かったでしょうかね。
地元の人でも怖くて近づけない八王子城址ですかね?数百年経っても恨みが消えない禍々しさですね。
後日談になりますが、二週間ほどA男という方は、手形の跡が取れなかったそうです。