祖父の遺影
投稿者:コバルト27 (3)
短編
2022/11/14
08:10
913view
これは30年以上前のお話ですが、恥ずかしながら、当時中学生だった私は、非行に走り随分親を悩ませておりました。
困っていた両親に田舎の祖母が暫く預かるよと提案し、私はド田舎の祖母の家で生活することになりました。
祖父は私が幼稚園の頃に亡くなっており、祖母は一人で生活しておりました。田舎での暮らし特有の不自由さと退屈さもありましたが、2ヵ月もするとすっかり馴染み、私自身も落ち着いてきました。
その後8ヵ月ほど祖母の家で生活しておりましたが、落ち着いたこともあり、両親のもとへ帰る事になりました。
最後の夜は、私を迎えに来た両親と共に1階の仏間で寝る事になったのですが、深夜強烈な耳鳴りにびっくりして目が覚めました。しかし、身体が動かない事に気がつき、すぐ隣で眠る両親を必死で呼びましたが、声が出ていないのかまったく反応がありませんでした。
暫くすると沢山の人混みの中にいるような騒がしさと変わった歌のようなものが聞こえ始めました。中学生だった私は経験したことのない恐怖でそのまま意識がなくなり、朝を迎えました。
目が覚めると一番に視界に入ったのは私を見下ろすように飾られていた祖父の遺影でした。
今思えば、あれは祖父からの戒めだったのではと思っています。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 2票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。