パーキングの建物や居並ぶ自販機たちを一瞥し、トイレに入ろうとした時、
嫌なものを目にした。
…蜘蛛である。
トイレ横の街灯の近くに大きな蜘蛛が巣を張っていた。
気持ち悪い…。蜘蛛は子どもの頃から大嫌いである。
今でも時々思い出す。
小学生の時に、学校のグラウンドの隅でやはり蜘蛛の巣を見つけた時のことだ。
蜘蛛の巣にはキレイなアゲハ蝶がつかまっており、
それを今まさに黒くて大きな蜘蛛が襲い掛かろうとしている所だった。
ボクはたまらず、近くにあった大きな石を蜘蛛の巣めがけて投げつけた。
石は見事に命中し、蜘蛛も蝶もつぶれて死んだ。
つぶしたことで余計に気持ち悪い記憶として残ってしまった。
幼少期のトラウマである。
ボクは蜘蛛を見ないようにしながら、さっさとトイレを済ませることにした。
バスに戻って席に着く。ボクの連れはまだ戻ってこない。
というか、どうやらバスに一番乗りしたのはボクのようだ。
他の乗客たちもまだ戻っていなかった。
と、思っているとボクの席の通路側のカーテンがゆっくり開いた。
(Iちゃんか?)と思ったが、開けたのは例の不気味な男の方であった。
見るとIちゃんはシートベルトをしたまま眠っているようだった。
「お兄さん、ワタシらどこかで会ったことありませんか?」
男が静かな声で質問をしてきた。
「い…いいえ会ったことは無いと思いますよ」
こんなインパクトの強い二人、会えば記憶に残っているはずである。
「そうですか。ワタシ手品をやるんですよ。いい機会ですのでちょっとご覧に入れましょう」
このおっさん、手品師だったのか。どうりで怪しい雰囲気のはずだ。
もしかしたらこの不気味なナリも職業柄なのかもしれない。
だとしたら、Iちゃんはこの手品師の助手なのだろうか…
それならなんとなくこの組み合わせも納得がいくような気がしてきた。
そう思いながら、しばし男の方を見ていた。
だが、~~
という切り返しが3回くらい続いた場所があったので、
編集させていただきました。
バイキングの残忍な処刑方法に、背中から肺を取り出して広げる
「血のワシ」と呼ばれるものがありますが、これはその応用ですね。
kamaです。
こちらのお話の解決編として、「【クモ男事件】-事件記者 朽屋瑠子-」という作品を書かせていただきました。合わせてご覧いただくとより楽しめるかと思います。
よろしくお願いします。
Iちゃんで抜いた後に魂が抜けるということか…
↑Iちゃんで抜いた。。。抜いた?