殺人事件の予言
投稿者:件の首 (54)
「――10年後の今日、お前は殺人事件で有名になるだろう」
10歳の誕生日、縁日の占い師に嫌な事を言われた。
19歳になってすぐ、私はサークルの後輩に告白された。
あの占い師の予言の事が頭をよぎり、断った。20歳になった時、一番一緒にいそうなのが、恋人だ。
「どうしてですか、先輩? 理由を教えて下さい」
彼女は食い下がる。
幼心に根付いた恐怖心は、簡単にぬぐえるものではない。
「とにかく、駄目なものは駄目だ」
そう言い切るしかなかった。
後輩は諦めが悪かった。
断られた事を忘れたかのように、接触を続けた。
あくまで後輩の立場だったので、追い払うのも不自然だった。
そして、19歳最後の日。
「明日の神社の縁日、みんなで行きましょう」
サークル活動が終わってから、彼女が提案した。
誰も反対しなかった。
私は勿論、不参加と答えた。
20歳の誕生日。
日付が変わった時から、アパートの自分の部屋に鍵をかけてこもった。
『せんーぱーい』
日が暮れて、後輩とサークルメンバー何人かが誘いに来た。
心が痛む。
1年に渡る根気強いアプローチで、私は彼女に強い好意を抱いていた。それほどに、彼女は健気で熱心だった。
どちらかと言えば、彼女を殺してしまう可能性の方が一億倍嫌だった。
私といない方が良いに決まっているのだ。
……いない方が?
ふと、気付いた。
『――本当、大丈夫ですか!? ひょっとして倒れてるんじゃ』
『そうだな、大家さんから鍵、借りてくる』
時間がない。
「わたし」は死んだのか?
彼女はどうなったのか?
殺人から自殺の大逆転とは?
この投稿は誰が書いたのか?
ちょっと、判りませんでした。
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