奥の和室の押入れ
投稿者:ねこじろう (147)
短編
2022/09/30
23:06
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そう言うと俺は静かに立ち上がり、ゆっくりテーブルから離れ、リビング奥の和室の方に歩く。
洋子はテーブルに座ったまま不安げな表情で「気をつけてね」と一言言うと俺の背中をじっと目で追う。
開け放たれた襖からそろそろと音をたてずに薄暗い畳部屋に入り、そっと押し入れの前に立つ。
そして肩越しに振り向き彼女の顔を見てニッコリ微笑むと、一回だけ軽く深呼吸をして襖に手を掛け、一気にガラリと開けた。
見ると押入れの上段には寝具が積み重なっていて、下段には何もない。
すると下段の奥の暗闇から何やらがさがさという音がするので恐る恐る覗き込むと、突然何か小動物みたいなのが飛び出してきた。
「うわ!」
驚いた俺は思わず後退りする。
「大丈夫!?」
洋子が心配げに声をかける。
俺はさっき飛び出した奴を捜して、素早く首を動かす。
そして和室の片隅に震えながら立っているそいつを見つけた瞬間、背筋がゾッとした。
そいつは30㎝ほどの背丈しかない裸の【おじさん】で、異様に色が白くガリガリに痩せている。
【おじさん】は、呆然と見守る俺と洋子の顔を、怯えた表情で交互に見ると再び走りだし、和室とリビングを真っ直ぐ駆け抜け、玄関に続く廊下の方に向かって消えていった。
【了】
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これは傑作。
変なおじさん
小さいおじさん、見てみたい。