禁足地と人柱
投稿者:セカンド (1)
その翌日、朝早くから伯父家族が帰省してきた。
親父の兄、即ち祖父の子供で長男で、家族構成は伯父と伯父嫁、そして俺より二歳年上の悪ガキSの三人家族だ。
中学の時にも一度あった事があるが、現在は金髪に耳ピアスと随分派手な姿になっている事に驚いた。
人間高校に入ると変わるものだと痛感していれば、Sは俺の顔を見るなり「久しぶりだな」と早速兄貴風を吹かせてくる。
まあ、俺もSはそんなに嫌いでもないので挨拶を交わした後、居間で近況を話し、気づけば兄弟の様に最近ハマってる漫画だとか彼女居るのか居ないのかなんて下世話な話題で盛り上がっていた。
ただ、相変わらず親父は浮かない表情をしていて、伯父もまた随分と久しぶりに見たから確信を持てないが顔色は悪い様に思えた。
しかも、到着するなり唐突に「ちょっと話があるから」と伯父嫁とSを置いて、伯父は親父と祖父を連れて別の部屋へと姿を消すのだった。
伯父嫁はおふくろと途切れない会話をして盛り上がり、俺もSとこっそりと携帯でエロ画像みたりと別の意味で盛り上がっていたが、不意にSが変な事を言い出す。
「なんか親父の様子がおかしいんだよな」
まさに俺の憂懼を射止める発言だった。
俺はSの話題に乗っかって、自分の親父の様子がおかしい事を伝えると、Sは「マジか」と何やら探偵めいた仕草から表情を曇らせた。
「実はさ、前に親父が言ってたんだけど…」
そして、Sは依然伯父が酒を飲んだ際に零した話を俺に聞かせてくれた。
その内容はこの地に眠る伝聞とか怪談めいた類のもので、この地のどこかに『禁足地』があると言う。
その場所には古くから異形の何かが祀られているらしいのだが、その土地に無断で侵入した者は末代まで呪われるらしい。
しかし、その呪いを解く為にとある手段が設けられるのだが、その方法と言うのが『人柱』なのだ。
「ドラ〇エの話?」
俺が半笑いでツッコミを入れると、Sは「黙って聞け」と口をムの字に曲げた。
『人柱』とは、読んで字の如くだが、この場合は呪いを背負わせる為に用意した人間を指す。
その候補は原則として禁足地に立ち入った人物でなければならない。
例えば、一人で侵入すればその当人が人柱として捧げられるが、複数人ならばその代表者一人だけが人柱となれば問題ないそうだ。
ただし、その人柱の内容が非常にエグイものだった。
人柱は地元の数人の大人の手で意識が無くなるまでボコボコにされた後、手足を拘束した状態で駕籠に入れられ、禁足地付近に連れていかれる。
その状態で駕籠の近くで祈祷を捧げると、その場に駕籠を置き去りにし、一週間後に再び戻ってくる。
その時駕籠の中の人柱が生きていれば再び一週間延長するそうだが、死んでいれば駕籠の中から遺体を取り出して桶に詰めるそうだ。
そして禁足地の何処かに埋め、人柱で即身仏の様なものを作り出すと言う。
「それはえげつないね」
俺が再びツッコミを入れるが、話はまだ終わりではない。
人柱が即身仏になって初めて儀式は一段落を迎えるらしいのだが、十二年周期にその即身仏の体の一部を切断して禁足地に還すそうだ。
つまり、十二年周期で手足と頭を切り取る事から、全部で五回、約60年かけて呪いを解くまでが儀式なのだとSは語る。
キョオオオオ!!
これぞ洒落怖って感じで面白かった
洒落怖入り候補ですね
個人的にはやっぱり小説っぽいのよりこういうテイストのほうが好きだな
Youtubeで聴きました。面白かったです。
おらこんな村嫌だ~。
似たような怖い話は、過去たくさん読んだり聞いたりしたから、なんとなくこうなるんだろうなと先は読めた。どんなに手を尽くしても助からない、足を踏み入れた段階で、死亡フラグが立つ人間が出る。命にも関わる話ような話なのに、大事な家族にきちんと伝えない他所の土地から嫁いできた嫁さんたちは、ブチ切れるのは当たり前。そんな、ツッコミどころ満載のはずの定番中の定番怪談でありがなら、ここまで読ませる文章力と表現力と破壊力。
親父さんの言う通り、「冗談だよ。冗談。」 「作り話だよ。当たり前だろう。」とビクビクしている。俺も田舎者。
凄く良かったです。
五回目の12年で60年。父親は5歳だったとしても、65歳、祖父は80~90歳。
高校生の俺は16~18歳。
かなりの高齢での息子なんだね。
↑別に父親、祖父が5回全部やったとは書いてなくね?
家族とか親族、村の人間って書いてあるんやで祖父の父とかがやったんじゃね
間違ってたらすまん
じわりじわり・・・と、怖さが増していきました。
方言がまんま地元と同じだから更に怖い
こええええええええええええ
キヨオオオオオオオオ!!!!!!!