禁足地と人柱
投稿者:セカンド (1)
「複数人なら他の奴らがその儀式をやるんだろうけど、一人の場合は誰がそれやんの?」
「家族か親戚らしい。居なけりゃ村人とかじゃね」
その辺は詳しく聞いてないのか、Sは鼻をほじる勢いで笑った。
まあまあ、怖い怪談だったが、果たしてこの話と親父達の変わりように何の接点があるのだろうかとふと思ったが、Sはこの話を伯父が話した事から親父達が本当にその儀式をしているのではと切り出す。
「いやいやいや、ないでしょ」
と、俺は笑うが、Sは続ける。
「いや、さすがに人柱とかはアレだけど、そういう変な儀式とかはしてそうじゃね?若しくは宗教とかさ。田舎って古い風習残ってる場所あんだろ?」
その言葉を受けて、俺は逡巡した後に割とあっさりと納得した。
確かに、Sの伯父が語った様な怪談めいた事は現代で有り得ないだろうが、この土地発祥の風習や宗教じみた儀式なんかは未だに残っているかもしれない。
それならば、祖父と親父が俺達に何も告げないのはそういった事への後ろめたさがあるだろうし、親父の体調が良くないのはそういう儀式への嫌悪感からくるものだと説明がつく。
そこで、Sは提案する。
「でさ、次親父達が出かけたら、親父達の後をつけてみようぜ」
「マ?」
悪戯小僧特有の下品な顔を浮かべたSに、俺は内心ワクワクしていた。
万が一、祖父にバレた時の事を考えれば気が引けるが、それ以上に、親父達が何を隠しているのか、それが俺の好奇心を掻き立てる。
その晩、やはりと言うべきか、親父は「少し出かけてくる」と立ち上がると、伯父や祖父を連れて玄関先へ向かう。
俺とSは「きた!」と顔を見合わせると、何も知らない様なあどけない顔をして「何処いくの?」と訊ねるが、祖父が「知らんでええ」と予想通りの返答をした。
おふくろと伯父嫁が玄関先まで見送りに立つ直前、Sは母親達に「じゃあ俺ら明日早いから先に寝るわ」と告げるや否やそそくさとその場を立ち去り、俺もSに続くように速足でその場を離れる。
その際、祖父がじっと俺達の事を見ていたのが印象的だったが、俺と目が合うとすぐにそっぽ向いた。
俺とSは事前にサンダルを部屋の中に用意していて、部屋に戻るなり窓から庭へと出る。
そのまま息を殺して玄関先を覗けば、親父達が懐中電灯を点けてぞろぞろと出ていく姿が見えた。
こんな夜中に徒歩で移動するようだ。
もし親父達が車で移動したら早々に切り上げようと話していたが、これならば尾行できそうだと俺とSは無言ではにかむ。
それから尾行を始めた俺達は、かれこれ十分近く歩いていた。
田んぼの畦道を抜けて舗装もされていないような田舎道を進むと、立派な鳥居があり、親父達が神社に用事があったのかと思えば、鳥居を抜けるとお堂とはまったく別方向に進んでいく。
そのまま小道を進めば雑木林の様な一面木々に囲まれた場所に行きつき、親父達は緩やかな小山を登って行った。
「こんな奥地に何かあんのかな?」
「なんかカルト教団じみてきたな」
俺は辺鄙な土地柄について思案していたが、Sはすっかりこの事態を楽しんでいた。
だがまあ、Sの言う通り、怪談や風習というよりかは、カルト教団の様な宗教に通じるものを感じる。
まさか夜な夜な山中で祈祷でもしているのだろうかと思ったが、その答えをすぐに見失う事となった。
キョオオオオ!!
これぞ洒落怖って感じで面白かった
洒落怖入り候補ですね
個人的にはやっぱり小説っぽいのよりこういうテイストのほうが好きだな
Youtubeで聴きました。面白かったです。
おらこんな村嫌だ~。
似たような怖い話は、過去たくさん読んだり聞いたりしたから、なんとなくこうなるんだろうなと先は読めた。どんなに手を尽くしても助からない、足を踏み入れた段階で、死亡フラグが立つ人間が出る。命にも関わる話ような話なのに、大事な家族にきちんと伝えない他所の土地から嫁いできた嫁さんたちは、ブチ切れるのは当たり前。そんな、ツッコミどころ満載のはずの定番中の定番怪談でありがなら、ここまで読ませる文章力と表現力と破壊力。
親父さんの言う通り、「冗談だよ。冗談。」 「作り話だよ。当たり前だろう。」とビクビクしている。俺も田舎者。
凄く良かったです。
五回目の12年で60年。父親は5歳だったとしても、65歳、祖父は80~90歳。
高校生の俺は16~18歳。
かなりの高齢での息子なんだね。
↑別に父親、祖父が5回全部やったとは書いてなくね?
家族とか親族、村の人間って書いてあるんやで祖父の父とかがやったんじゃね
間違ってたらすまん
じわりじわり・・・と、怖さが増していきました。
方言がまんま地元と同じだから更に怖い
こええええええええええええ
キヨオオオオオオオオ!!!!!!!