葬儀屋スタッフが葬儀中に慌てた話
投稿者:したださん (10)
葬儀屋スタッフの知人に聞いた話です。
お若い方のご葬儀が入った日のこと。
たくさんのご友人や、ご遺族縁者の皆様も揃って、ご会葬者の多いご葬儀になっていました。ご遺族は突然のご不幸に憔悴しながらも、出来るだけ気丈に会葬者のお出迎えをされておりました。
ご葬儀は厳かに進み、いよいよ最後のお別れに移ろうするほんの一瞬静まり返った会場。どこからか、しかし確かに会場全体に響きました。
「◯〇屋のラーメン・・・」
会葬者は思わず笑ったりとザワザワ、スタッフは大慌てで顔を見合わせました。会場内で使っているマイクのどれかに声が入ってしまったのか、使っていないマイクにたまたま電源が入っていて誰かがふざけたのか。ともかく葬儀中にあるまじき戯言なので、スタッフ全員が散り散りにマイクの確認とご遺族への謝罪フォローに走りました。
そうはいってもご葬儀を中断することはできないので、ざわついたままとは言えしめやかに営まれ、出棺の運びとなりました。
ご挨拶の後、霊柩車に御棺と共に乗り込まれたご遺族に、運転手をしていたスタッフが再度先ほどの出来事についてお詫び申し上げました。
するとご遺族の方々は、「大丈夫ですよ」と故人についてお話ししてくださいました。
故人は休日に外出した際に事故に遭われお亡くなりになりました。お母様の話では、その日は「◯〇屋のラーメンを食べに行く」とおっしゃっていたそうです。「あの子の声だった気がします。◯〇屋のラーメンが大好きだったから。」と言って、ご遺族が顔を見合わせて微笑んでおられました。
お骨上げ後、そのラーメン店へご遺族がご挨拶に行き、店主が故人へのお供えにラーメンを作ってくださったので、本人も満足したでしょう、とのこと。
その後も、法要に折には◯〇屋のラーメンを皆さんで召し上がっておられるそうです。
悲しいけど何だか温かい話
良いお話だった!