人気者のAさん
投稿者:したださん (10)
友人から聞いた話です。
その友人が通う大学にはAさんという誰からも好かれる人気者がいました。
容姿も整っていて、親切で成績優秀な人で、友人もAさんに好感を持っていましたが、同時にどこか不自然なものを感じていたそうです。
当時の友人は親からの仕送りで生活していたのですが、友達と遊んだりするためにはお金が足りないのでホテルの清掃のアルバイトを始めたそうです。
その職場にはAさんがいて、一緒の時間にシフトを入れるようになったそうです。
そのホテルにはいわく付きの部屋がありました。
二階の角部屋なんですが、何年か前に中年の男性が首をつって亡くなったそうです。
気味が悪いと思いながら、仕事だと我慢していたら、ある日、その部屋の掃除をAさんと一緒にすることになったそうです。
「この部屋なんか気持ち悪いですよね」と話しかけると、何も反応がなかったので、不思議に思いながらAさんの方を見ると、手を合わせながら俯いて肩を震わせていました。
最初はびっくりしましたが、優しいAさんのことだから亡くなった人に同情しているのだろうと思っていると、Aさんが顔を上げました。
その顔は明らかに笑顔でした。
友人が絶句していると、「俺さ、霊感あって部屋の隅に見えるのよ、霊が。
すごい沈んだ顔で後悔してるみたいだから面白くなってきちゃった」と言ったそうです。
友人はAさんのことが怖くなってこのアルバイトを辞めたそうです。
本性なのか、達観されてるのか...