都内の庭園に今も生き続ける怨霊
投稿者:テス子 (1)
短編
2022/08/28
01:23
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こんなふうに声を変えられたのは初めてだった。
わたしは絶対振り向くまいと、靴を両手に抱え直し、玄関へ一目散に走った。
シクシクと啜り泣く声がわたしの背後へ迫ってきた。
玄関のドアまであと5メートル、あと1メートル、わたしは一目散にドアノブを握りドアを開けようとするもドアが開かない。
啜り泣く声はもうすでにわたしの耳元まで近づいてきた。
生暖かい空気がわたしの耳に吹きかけられる。
わたしは大声で何か叫ぶも、玄関の上にある灯りがゆらゆらと点滅しはじめた。
ぬるりとした冷たい手のようなものがわたしの背後から抱きしめられるように締め付けられる。
わたしは恐怖のあまり泣き喚いていた。
そして玄関に背後から抱きしめられる魔物と一緒に倒れ込んだ。
うっすらと意識が遠のいていく中、横にある姿見には洋装の真っ白い女の子がこちらを睨みつけていた。
そしてその子の左腕あたりから真っ赤な血が滴り落ちていた。
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