カワワラシ
投稿者:信綱 (1)
当然ながら真正面にいる俺からは、女の子が人に見せちゃいけないモノが色々と丸見えだった。
くぱっと開き気味になった一本線の中から、薄ピンクの芽のような突起がぴょこんと顔を出していた。
女子のその部分をしっかりと見たのは、多分それが初めてだったと思う。
俺はチラチラと視界に入る神秘の器官にドキリとしつつ、出来るだけそっちを意識しないよう、目線を上の方へと移した。
女の子は自分の際どい格好を気にすることなく、逃げようとせわしなく動くサワガニを、手のひらでくるくると弄んでいた。
ニタニタ、ニタニタと笑顔を浮かべて。
俺はその様子を見て、昔テレビの特集で見た野生児の少女のことがふと思い浮かんだ。
人間らしい振る舞いができなくて、振る舞いは獣そのもの。
でも時折、無意味に自分より弱い小動物をいじめては、悦に浸ったようにケタケタと笑うのだ。
人間としての道徳心や倫理観といったものを一切教わらずに、ちっぽけな被虐心がむき出しになるから、そのような惨いことをするのだそうだ。
そんな野生少女の姿が、目の前にいる女の子と不思議とリンクした。
・・・野生児じゃないよな?こいつ。
そんな取り留めもないことを考えていた、次の瞬間だった。
女の子はサワガニを弄くり回す手を止め、がしっと掴むと、おもむろに自分の顔に近づけた。
そのまま品定めするような目でサワガニを見つめると、なんと口にそれを放り込んだ。
ひとかみ。ふたかみ。ごくっ。
女の子はさも美味しいものを食べているかのように、サワガニをそのままゴリゴリと噛み、ごくりと飲み込んでしまった。
サワガニを食べ終えた女の子は、ふと満足そうに声を上げた。
「みゃあ、みゃあ、みゃあん」
発情期の猫の鳴き声みたいな、なんともいえない気味の悪い耳障りな声。
その間も女の子は、ずっとニタァと笑顔のままだ。
そんな光景を目の当たりにして、俺は背筋がゾクッと冷える感覚がした。
あ、こいつやばいかも。
目の前の女の子が尋常じゃない、普通じゃない存在であると本能的に分かった。
「みゃあ、みゃあ」
女の子は気持ち悪い声を上げ続けている。
どうしよう。どうしよう。
動転して何も考えれないでいると、突然女の子が俺の足首を掴んできた。
顔を上げて、気持ち悪い笑顔でこっちを見ている。
するとその瞬間、辺りからも沢山の鳴き声が聞こえてきた。
めちゃ面白かったです
奥多摩あたりは神秘的で本当に何かありそうな場所ですよね
ワラシちゃん可愛い
蹴り入れられたのに気に入られるのか…Mっ気があるのかな
おじいちゃんが山で作業中に急死ということは・・・。