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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

恋人の隠し事
長編 2022/07/28 12:04 4,445view
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しばらく彼とは連絡を取らなくなりました。

そして付き合っているのか別れたのか分からないぐだぐだした関係に嫌気がさし、その日私は彼と別れるつもりで、いつかのあのアパートにやってきました。

彼の家に奥さんもしくは別の同棲相手がいることは分かっていましたから、彼が二股をしていることを相手の女にバラして一回平手打ちした後にこっちから振ってやろうと思ったのです。

とりあえず私は夕方になって彼の家の前にやってきましたが、家には誰もいない様子でした。

だからしばらく外で待っていたのですが、なかなか人が帰ってきません。

暗くなってきたのに電気がついていなくて、今日に限ってなぜ相手の女がいないのかと苛立ちました。

夜の7時近くになって、やっと彼の車が駐車場に止まりました。

私は慌てて隠れて、彼が家に入っていく様子を伺っていました。

私はせっかく二股相手の前で振ってやろうと思ったのに、その人がまだ帰ってきてないことにがっかりました。

なのに奇妙なことに、彼が部屋を開けた途端、またあの声がしたのです。

「お帰りなさい」というあの声が。電気もついていなかった部屋なのです。

そこから女の人の声がすることに、私はびっくりしました。そしてそういえば、前に来たときも電気がついていなかったことに気づきました。

一瞬驚いたのですが、冷静ではなかった私は女の人の声を聴いて、驚きよりも怒りを感じてカッとしました。

「やっぱり女がいた」と思ってしまったのです。

だから彼を問い詰めるために、彼が上った階段をすぐさま駆け上がりました。

そして家に入ろうとしている彼の背広を思いっきり引っ張ってやりました。おそらく般若のような顔になっていたと思います。

振り向いた彼はすごく驚いた顔をしていて、私は真っ赤になった顔で彼を思いっきり罵りました。

言いたかったことをすべて吐き出した私ですが、ふと家の中が真っ暗なことに気が付いたのです。

まるで人がいないような暗さでした。とっさに彼が二股相手を隠すために、電気を消したと思いました。

だから私は電気をつけて無断で彼の部屋に入っていきました。

しかし、家の中をしばらく探しても誰もいないのです。

女性どころか部屋に誰もいないので、私は次第に薄気味悪くなりました。

私はまだ出口で突っ立っている彼に、「どこに隠したのよ!?」と聞きました。

だってさっき彼を出迎えた声の主がいないのです。

2回もその声を聞いたので、聞き間違いのはずがありません。

なのに誰もいないので、怒り狂っている私からその人を守るために、彼がどこかに隠したのだと思いました。

彼はすっと腕を上げて私の隣を指さします。

そして「そこにいる」と言いました。

明らかに私の隣を指さしましたが、そこには誰もいません。

私は彼に詰め寄り、「なんなのよ、どういうつもりなの!」と言ったのです。

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