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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

恋人の隠し事
長編 2022/07/28 12:04 4,447view
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私が彼とお付き合いを始めたきっかけは、友達の紹介というとてもありふれたものでした。

仕事にやっと慣れてきて心に余裕ができたので、プライベートも充実させたいと思いました。

だから学生時代からの付き合いである友人から「この人と会ってみない?」と紹介されたときは、とてもいいタイミングだったのです。

私はすぐに返事して、彼と食事に行きました。

それからメールのやりとりを複数回するようになり、やがて恋人になったのでした。

相手はとても穏やかな優しい人で、私が少しわがままを言っても聞いてくれるような器の大きな人でした。

それに私よりも5つ年上だったこともあり、いろいろと大人に見えて、尊敬できるところもたくさんありました。

友達にも「いい人紹介してくれてありがとう」と、ご飯を奢るくらいに素敵な人と出会えたと思ったのです。

彼の行動が少し不審に思うようになったのは、付き合い初めて1年くらい経ってからのことでした。

私はいつしか彼との結婚を考えるようになり、次第にその話をさりげなくするようになりました。

いつも優しい彼なのに、なぜか結婚の話だけはあまりしたがらなかったです。

彼も家庭を持ちたいとか子供がほしいと言っていたので、まだ遊びたいとか独身を謳歌したいタイプではなかったと思います。

だけど私が思い切って、「そろそろ同棲とか考えない?」と切り出したら、一瞬呆けた顔になり、そしてなんだか苦い顔をされてしまいました。

その後も煮え切らない返事が返ってきて、結局一緒に住む話は進まなかったです。

しばらくそのことで、煮え切らない彼の態度に怪しさを感じました。毎週のように会っているのに、一緒に住むのは嫌というのはおかしいと思いました。

じわじわと彼を疑うようになっていき、もしかして既婚者なんじゃないかという疑いも沸き上がりました。

なぜなら私は彼の家に行ったことがなかったからです。いつもはぐらかされて、家を教えてもらえなかったのです。

いつも彼と会うのは私の家か屋外で、彼の家に上がったことが一度もありませんでした。

だから私は思い切って、いつものようにデートした帰りに、タクシーを拾って彼の車を追いかけました。

そして彼の居場所を突き止めたのです。

彼の家は意外にもこじんまりとした古めのアパートで2階の角部屋でした。

そして彼がその家に入る寸前に、甲高い声で「おかえりなさい」という女性の声を聞いたのです。

その声に彼は「ただいま」と朗らかに返しました。

私はかなりショックを受けて、この日やっと彼の隠し事を知ったのでした。

その現場を見てしまってから、私はしばらく彼と連絡を取りませんでした。

取らないというよりも取れなかったです。

1年もの間、彼が二股をしていることに気づかず、独身だと思い込んでいた私はかなりのショックで、立ち直れなかったです。

しばらくして彼から連絡があり、「会わないか?」と聞かれました。

私が勇気を出して、「今日家に入れてくれたら会ってもいい」というと、彼はしばらく沈黙した後で「家はごめん」と言いました。

私はその言葉に裏切られた気持ちになりました。

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