恋人の隠し事
投稿者:ぴ (414)
そのときでした。私は誰かにくんっと服を引っ張られる感覚がして、後ろを振り向きました。
振り向いたけど、誰もいなくて動揺しました。
すごく怖くなってきて、私は「なんなの」と彼のほうを見ました。
そしたら「隣にいるって」と恋人は言ったのです。
「誰もいないじゃない。誰がいるのよ?」と私は恐怖に駆られながら彼に言うと、淡々とした口調で「俺の元カノ」と言ったのです。
背筋がぞくっとしました。
しかも聞いてもないのに、彼は私に「7年前に死んだ俺の元カノ、今も家にいるの」と言ってきたのです。
その瞬間、確かに私の耳元で甲高い声がしたのです。
その声は私に「彼を盗らないで」と言いました。
なんというか殺気みたいな冷たい空気を感じました。
私はあまりに今起こっている現象が受け入れられなくて、怖くて怖くて彼の家をすぐに飛び出しました。
急な階段を急ぎ足で降りていく途中で、トンと誰かに背中を突き飛ばされた感覚がしたのです。
明らかに恋人の手ではないもっと華奢な手と思います。
あっという間に私は階段を踏み外して転がり落ち、気づいたら包帯を巻いて病院のベッドの上にいました。
はじめは怖い夢を見たのかと思ったけど、入院中に彼は一度も私のお見舞いには来ませんでした。
そして後日電話で彼に別れようと言われました。
彼の話では死んだ恋人がずっと家にいて、彼の恋人に危害を加えるらしいです。
だから私を家に呼べないし、バレたからこれ以上付き合えないと突き放されました。
別れたくはなかったけど、突き飛ばされたときの恐怖を思い出し、私は怖すぎて彼を引き留められなかったです。
しばらくその傷が癒えなかった私ですが、やっと最近になって新しい恋人ができました。
それから元カレには一度も会っていないけど、今も死んだ恋人と一緒に住んでいるかと思うと、怖いです。
もうあんな怖い思いはごめんだけど、彼が今どうしているのか身を案じてしまいます。彼の無事をただただ祈っています。
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