ついてきた兵隊さん

つい先日の話です。

夫と夜ドライブをしていました。
時間は10時30分近かったと思います。
帰ろうと慣れた道を走っているときでした。

交差点に差し掛かった時に、信号が赤になりました。
そのまま車を停車させて信号が青に変わるのを待っていました。

交差点の左側に小さな林があります。

その林は長年手つかずで、ボロボロでした。
昔雀荘だったようで、よく見ると看板や家らしきものも見えます。

その場所を夫が見ていたら夫が「あれ？」と言いだしました。
私が「どうしたの？」と聞くと同時に信号が青に変わったので、車を走らせながら夫が言い始めました。

「なんか林の奥に男の人がいた気がする。昔の戦時中のような恰好していたような気がする」

私が「あなたの事を見てたのかね」と茶化すと「いや、なんか俺たちよりも遠くを見てた感じ。ボーっとしてた顔してた」と夫が言ってきました。

そしてその話をし終えてから一人で「怖い―」と騒いでいました。

そのまま家に到着してまず私が車から降り、家に入りました。
そのあと車を駐車した夫が家に入ってくるのですが、中々家に来ません。

5分くらいして、やっと夫が家に来たので「何やってんの？また星でも見てたの？」と私が聞くと夫が不思議な顔をしながら「いや、なんかザ、ザ、ザって音がするんだよ」と言いました。

私が「どこから？」と聞くと「家の前の道路。何か兵隊が行進しているようなザ、ザ、ザって音なんだよ」と夫が言うと怖がっていました。

未だに戦死された方が、成仏できずに任務を全うしようとしているのでしょうか？
もし、そうだとしたらあまりにも長く苦しい死後だと思います。

戦争が終わったことに一日でも早く気づき、すぐに成仏してほしい、そう願った日でした。