死を選んだ同級生
投稿者:偽美 (28)
私は、この世に存在するはずのない人間を見ました。
その人間は私と同じ高校に通う同級生でした。
彼とは特別親しい間柄ではありませんが、何度か言葉を交わしたことくらいはあります。
しかし彼はもう死んでしまったのです。
今から二ヶ月ほど前のことです。
彼は学校の屋上から飛び降りて自殺しました。
私は彼の死を新聞やニュースなどで知って驚きましたし、深い悲しみに暮れました。
彼が自殺する理由などまったく思い当たりませんでしたので、どうしようもない喪失感に襲われました。
ですが、それからしばらくして奇妙な噂を聞いたのです。自殺したはずの彼が夜な夜な学校へ忍び込み、校舎内を徘徊しているって……。
最初は何かの間違いかと思いました。
だってそうでしょう? 死んだ人間が生き返って学校にやって来るなんて有り得ませんもの。
でも噂を信じているクラスメイトも少なからずいまして、彼等は
「あいつが生きているはずがない」
とか、
「きっと幽霊になって戻ってきたんだ!」
などと騒ぎ立てていました。
そして実際に見たという人もいたのです。
その人は彼と一緒に授業を受けていた人でした。
夜の学校で彼を見かけたと証言しています。
私はそれを聞いていても立ってもいられなくなりました。
なぜなら私の心の中には、ある感情が生まれていたからです。
それは恐怖ではなく好奇心でした。
もしも本当に彼が幽霊となって現れたのだとしたなら、どうしても確かめたいと思ったのです。
なぜあなたはこの世に未練を残してしまったのか……と。
だから私は真夜中の学校に忍び込む計画を立てました。
もちろん一人で行く勇気はなく、友人達に協力してもらうことにしました。
計画には二人の女子生徒も加わりました。
彼女達はクラスの中でも目立つ存在だったのですが、快く協力してくれたのです。
こうして私たちは深夜の二時に学校へ行きました。
自分が死んだ後周りがどんな反応をするのか見てみたい気持ちは分かる。
↑確かに!