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不思議体験

偽美さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

視える
短編 2022/06/30 17:36 2,167view

私は素直に従い、お金を払ってタクシーを呼び止めようとした時……ふと気付きました。

運転手さんの顔色が真っ青なことに。

「あ、あの……」

私が声をかけると、彼はハッとしてこちらを振り向きます。

そして、震えた声でこう言いました。

「あぁ……すみません。少し考え事をしていて」

「いえ、それはいいんですけど……。顔色が悪いですよ?」

「えっ!?……そ、そんなことはないよ。きっと疲れてるだけだと思う」

「そうですか……?」

「うん、そうだとも! だから気にしないでくれ!」

そう言って、無理矢理笑顔を作ってみせる運転手さん。

私は何も言えず、そのまま家まで送ってもらいました。……そして、家の前まで着いたところで、また違和感を覚えることになるのです。

何だか、外が騒がしいように感じられました。それも複数の人の気配がするのです。

不思議に思って外に出てみると、そこには沢山の人々が集まっていました。

彼らは口々に、私に向かって話しかけてきます。

「大丈夫かい!?」

「怪我は無い!?」

などと言っていますが……正直、何を言っているのかよく分かりませんでした。

私はただ、

「はい、大丈夫です」

と答えるだけで精一杯でした。……そして、集まった人々は皆一様に私を見つめ、何かを期待しているような顔をしています。

私が困惑していると、一人の男性が声をかけてきました。

「君の名前は、真白愛梨ちゃんであってるかな?」

私は戸惑いながらも、彼の質問に対して肯定します。すると、その男性はニッコリ笑って言いました。

「ありがとう。僕は、君のお父さんの友人なんだ」…………その一言を聞いた瞬間、私は全てを理解しました。

――ああ、そういうことだったんだな。

そう思った時にはもう、私の意識は完全に途切れてしまっていたのです。……次に私が目覚めた時は、病院のベッドの上でした。

両親も一緒に居たので、私は事の経緯を聞くことにしました。すると、驚くべき事実を聞かされることになったのです。

事故に遭ったのは、私の両親ではなく……両親だと思い込んでいた人たちだったということ。

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