視える
投稿者:偽美 (28)
短編
2022/06/30
17:36
2,178view
つまり、彼らが乗っていた車は事故を起こしておらず、別の誰かが運転していたというわけです。
では、一体誰が? どうして、そんな嘘をついたのでしょう?……そう考えた私は、すぐに理解してしまいました。
――ああ、そうだったんだ。そうだったんだね。
私は自分の胸元に手を当てて、強く握りしめました。
――みんな、私のことが怖かったんだ。だから、こんな真似をしたんだ。
私は、自分の力のことを誰にも話してはいません。……しかし、もしそれがバレていたとしたら。
その力を利用しようと考える人がいてもおかしくないのではないか、と思い至ったのです。
――もしかすると、私は知らない間に利用されていたのかもしれない。
そう思うと、私はとても恐ろしくなりました。
それからというもの、私は人と関わることを極端に恐れるようになりました。
友達を作ることもせず、ずっと一人で過ごしています。
両親や祖父母とは連絡を取り合っていますが、なるべく会わないように注意しています。……もしも、彼らの口から自分の力が漏れたらと思うと、怖くて仕方がなかったからです。
前のページ
3/3
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 2票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。