亡くなった後も孤独な霊
投稿者:J2 (8)
「なぜ、半年経って今頃?彼は何を伝えたいのだろう。」そんな思いになりました。
やはり通用口を出ると「お疲れ様です。」と低く野太い声で話しかけられる。
その姿は本当に霊なのか疑うぐらい生気を帯びていました。
その数カ月後、私が昼休憩で休憩所に行くと彼の姿があるのです。
「え?嘘。なんで?」
その周辺には別部署の従業員が数名。
彼のことなど見えていないかのように弁当を食べたり、スマホを触ったりしています。
ふと、彼と私の目が合い、彼が「お疲れ様です。」といつもの声で挨拶するのです。
怖くて怖くて震えながら急いで弁当を流し込み、慌てて2階の事務所に帰りました。
真っ青な顔をした私に「どうしたの?」と先輩が心配する。
適当な返事をし、その日は真っ青になりながら午後の業務を片付けました。
その後も彼は通用口、時折休憩所に現れるように。
だんだん恐怖を超えて頭痛を感じ始めた頃。
「ねえ、〇〇さんが辞めるって聞いた?」
別部署に配属され、入社以降会っていなかった同期が辞めることを人づてに聞きました。
ある日の退勤時、同期の姿を見かけたのですが、以前の活気は消えていました。
ふらふらと、暗い顔で彷徨うように歩いている同期の姿を見て、退職の理由は察しました。
同期は入社後1年未満で退職し、私はその後1年3ヶ月で部署異動から退職に至りました。
同期も私も退職の理由は「自己都合のため。」ですが、本音を言うと精神的に追い詰められたから。
考えればおかしい話です。
だって、毎日霊と挨拶を交わし、毎日霊と休憩時間を共にするのだから。
見えている人もごくわずか、この話をしても取り合ってもらえない不安感もあります。
霊が見える恐怖感と話を分かってもらえない孤独感は私の心に酷く残っています。
ちなみに、後から聞いた話ですが、私が勤めていた職場は現在廃業の噂も立っているそうです。
私と同期が辞めて以降、新卒社員が1年前後で辞めていくことが続いているとのこと。
ここ数年は新卒社員が全く入らなくなり、中堅社員が業務を全て担うことに。
だんだんと疲れてきた中堅社員も辞めていく人がちらほらと現れ、深刻な人手不足に陥っているそうです。
あの男性が何が理由で精神を患い、自殺を選んだのかは私には分かりません。
ただ、自分が辞めた職場に新しく入った社員たちの様子が気になるのではないでしょうか?
気になるから見ているだけで悪気はなくとも、新入社員からすれば恐怖でしかありません。
分かります。職場離れてよかったです。