おじいちゃんが呼んでいる
投稿者:みりん (9)
短編
2022/06/07
07:45
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これは私が大学生の時の不思議な体験です。
大学進学と同時に家を出て一人暮らしを始めた初めての夏の日のことでした。
当時付き合ったばかりの彼の家でご飯を一緒に作り食べて、そのままうとうと眠ってしまいました。
その日はとても気持ちの良い風が吹いていたので、窓を開けたまま眠っていました。
すると急に「おじいちゃんに会わないといけない!!おじいちゃんのところへ行かなくちゃ」という気持ちになり涙が次々と溢れて止まらなくなりました。
私の祖父は私が小学生の時に既に亡くなっていました。
まだ幼かった私はそこまで死の意味を理解しておらず、お葬式にも参列しましたが、涙はでませんでした。
居なくなったことは悲しかったけれど、涙を流して何日も悲しんで…というよりは、おじいちゃんありがとう!楽しかったよ!という気持ちの方が強かったです。
でもその夏の日、何年も経っているのに急に涙が止まらなくなったのです。
少し怖かったので一旦自分の家に帰ってその日は夜早めに寝たのですが、次の日になってもずっとモヤモヤが残っており、大学の講義を欠席して実家へ帰ることにしました。
片道二時間以上かかったのですが突然帰ってきた私に両親も祖母もびっくりしていました。
祖父の仏壇の前で手を合わせてふと見ると、涙が止まらなくなって会いたくなった日は祖父の命日でした。
その時初めて亡くなった事を実感したような気がしてまた涙が止まりませんでした。
とても不思議な体験でした。
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