深夜の帰り道
投稿者:みりん (9)
当時アパレルで働いていて、遅番が22時に終わり実家に帰る予定をたてていました。
一人暮らしの家に帰ってからお風呂や夜ご飯を済ませ、寝るだけで2時間かかる実家に帰る予定でした。時刻は0時を回り遅くなってからの出発でした。
車で一人、田舎の山道を2時間かけていつも通り走っていました。
高速道路を降りて、あと30分程で実家に着くという頃、それを見ました。
山道の両端は歩道もなく、車道のすぐ脇には木が生い茂っており街灯はなく、コンビニもありませんでした。
車の灯りだけが頼りの道で、ここで故障なんかしたらどうしようと言う山道でした。
車のライトで照らす右側先方に、サラリーマンのようにスーツを着た男性が背中を向けて歩いていたので、少し左側に寄り追い越そうとしました。しかし、なにかおかしい。少し足が悪いのか足を引きずっているという印象でした。
私が車で走っているスピードは50kmくらいだったでしょうか、スーツを着た男性に近づくにつれて、「うわ、見たらいけない、、」と思う瞬間がありました。
それは、遠目からはわからなかったのですが、両手の袖から手は出てなくて、足は引きずっている。体が異常なくらい左右に揺れていて、この山道のどこに家があるかもわからないところに一人明かりも照らさず歩いていたということに一瞬で恐怖に陥りました。
サラリーマンは、私の行く同じ方向に歩いたので、顔は追い越し際やミラーなどを見ないとわかりませんでした。
私にはその勇気はありませんでした。
追い越す時が一番、追い越してからも車に乗ってきてないかなど色々考えてしまって、後部座席やミラーなど見ることができませんでした。
実家にたどり着き、深夜2時頃もちろん家族は寝ていて、この話をしたのは朝になってから。
母に話すと
「えー、怖いね。」というだけだったのですが、その日の新聞であの山道の近く付近で、事故があり男性が亡くなったという記事を目にしました。
その男性は家に帰ろうとしてたのでしょうか。
生きていたのでは…
怖いけれど切ないですね…