猫の入学式
投稿者:壇希 (11)
短編
2021/02/02
21:54
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いつの間にか宴会の騒音が遠くに聞こえる。肩の烏は氷のように動かない。
「こんな所にも光線銃があるのね。おちおち飛んでもいられやしない。嫌な世の中になったもんだね」
烏は悪態をつくと、勢いよく私の肩を飛び立った。
爪が容赦無く肩に食い込み、鋭い痛みがはしる。
「ほら、たったかたったか歩かないと。足が棒になるわよ」
烏は私を先導し始めた。どこに誘うつもりなのか。
「ほら、見えてきたよ。お天道様だ」
烏は枯れ木の細い枝にとまった。そこは断崖絶壁だ。これ以上道はない。
「ここから先は一人だよ。早く行きな。遅刻するんじゃないよ」
早く行けとはどこの事だろう。学校だろうか。
しかし、私は崖の先には行けない。私には羽はない。
「あたしはお琴を弾かなくちゃいけないんだよ。ごらん、木々の葉が回り始めてるだろ?」
確かに私たちの背後の葉っぱがくるくると回っている。夜更の合図だ。
「ひとつ教えといてあげるよ、空が赤いのは祝いだよ」
そう言い残すと、烏は崖の向こうへと飛び立っていった。
確かに空が赤い。私を祝福してくれているのか?
ふと見ると、私の白い毛のそこかしこに血が付いている。その血がやけに獣臭い。
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作者がこえーよ
風変わりな作品で中々面白かったです
なんの比喩かわからない。
作者の闇を感じる。