猫の入学式
投稿者:壇希 (11)
短編
2021/02/02
21:54
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背後に気配を感じ見てみると、地面に先程の丸々とした狸が息絶えていた。
臭い死臭を漂わさせ、それに釣られたカラスが死肉に群がっている。
そうか、これが烏の誘いか。
私は群がるカラスを追い払い、狸の屍をよく観察してみた。
裂けたヘソから腹わたがはみ出ている。不思議ともう臭さは感じなかった。
私は狸の腹の裂け目に手を入れると、思いっきり押し広げた。
汚い血が溢れ出た。それが収まると、その奥には内臓はなく、深く奥まで続く真っ暗な穴が開いていた。
「早く来なさい。心の準備はできてるんでしょ?」
烏の声が穴の奥から響いた。
当たり前だ。覚悟などとうに出来ている。
私は七つになったのだ。もう後戻りはできない。
私は狸の腹に顔を突っ込んだ。
苦しくはなかった。生暖かい感触に吸い込まれるように、私は暗く長い穴を降った。
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作者がこえーよ
風変わりな作品で中々面白かったです
なんの比喩かわからない。
作者の闇を感じる。