作りが変な廃校

廃校にまつわる話しです。

おばあちゃん家はとても田舎で、山に囲まれています。空気が澄んでいて遊ぶところは何もありません。

車も通らないし買い物するお店もありません。おばあちゃんの家以外にある建物というと小学校の廃校です。

だいぶ古く校庭には草が生い茂り、人が近づくようなところではないのですが散歩に行くと私はこの廃校に立ち寄ります。

かつて子どもたちがここで勉強して、給食を食べ、遊んでいたという想像をすると感慨深いのです。

いつもはドアにも窓にも鍵がかかっているのですが、その日はなぜか引き戸が少し開いていました。

いつも外からしか見たことがなかったのでちょっとドキドキしましたが好奇心で木の引き戸をギギギっと引き、中を除いてみました。

すると中は真っ暗で何も見えません。

少し進むと窓からの太陽の光で明るくなりました。

そこは教室。ブラウン管のテレビが埃まみれになり、蜘蛛が巣を作っています。

意外と荒れていなくて床が朽ちているということもありませんでした。

その後各教室を回り、手洗い場やトイレや給食室を見て何事もなく外に出ました。

小さな小学校なので設備はそれくらいしかなく、こぢんまりとしていました。

そして帰ろうとした時、ふと気づきました。

どこにも階段がなかったことに。

この廃校は２階建てです。

もう一度外から見ても２階があり私の目には少なくとも教室が２つ見え、窓も見えます。

しかし階段がないのです。狐につままれたような感覚になり、急に怖くなり足早に去りました。