いつもの表情に戻っていた父を見た母は安心したのか、すぐ寝てしまった。
この時、父はよくこんなことを話をした後にすぐに寝られるなぁと思いながらも、自分も寝床に向かった。
次の日、仕事に向かうため車に乗り込む父。
昨日なぜ服の袖で車のボディを拭いていたのか、
それは父にしか見えない無数の手形の処理をしていたのだそうだ。
しかし父にはまだ昨日の拭き残しが見えている。
徐に車を降り、1番目立つフロントガラスのところに見える手形を拭きにかかる。
父「…朝からめんどくさいなぁ……え……」
父は力強く擦るも、その手形は他のと違い一向に消えようとはしない。
父「まさか…」
父は急いで車内に戻り、内側からフロントガラスを触る。
父の顔が曇りはじめる。
いつのことかは分からないが、すでに侵入を許していたのだ。
この時初めて、自分で見抜けなかった何かを感じたと父は言う。
この話を友人に聞いた時から、忘れられない話の1つである。
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