ある県の山中ドライブデート
投稿者:fatcat (3)
この話は、私の友人の両親の身に起きた話である。
その友人がまだ生まれる前の話なのだが、後々にこんな話があったと両親に不意に聞いたそうだ。
この先の登場人物2人を”父”と”母”とする。
父と母2人は、よくドライブデートを楽しむ仲だったようであり、ある夜もドライブデートを楽しみに、ある県の山道に入っていった。
私もその山のことはよく知っており、春は桜並木が立ち並び、山の上から見る景色も素晴らしく、季節の変わり目にはお祭りなとが開かれ、大きな神社もあるため、お詣りにも行くこともあった。
そんな有名な山ではあるが、やはり夜の山の中は暗く、不気味な印象を抱くことは少なくはない。
そんな夜の山中ではあるが、地元の人間であり、道もほぼ一本道なため迷うということはない。
父「今日は山から夜景でも見て、ご飯でも食べて帰るか!」
母「そうしよっか!」
なんてことないプランを決めて山中のドライブを楽しむ。
山に入り、間もない頃、母がトイレに行きたいと言い出す。
しかし、その地点で直ぐにトイレ休憩をとれるところはないことは分かっていた。
父「とりあえず山中にある公共のトイレに着くまで我慢してく
れないか…」
母「まぁそうするしかないよね〜」
人間というものは、ないと分かると焦ってしまうもので、尿意ともなると尚更。
そうこうしている内に、徐々にトイレまでの距離が近づいてきている。
しかし、先程から尿意を我慢している母の表情よりも、険しくなっていっている父の顔が見受けられる。
母「後ちょっとで着くよね?…さっきからどうしたの怖い顔して…あなたも我慢してるの?笑」
少しおちゃらけて、父の表情の意図を探る。
父「…なんでもないよ笑 そんな顔してた?笑…」
明らかに何かを我慢しているのか、または悟られないようにしているのか、と言った返答だ。
そして母にとって待望のトイレがある地点へと辿り着く。
そこにはちょっとした駐車場もあり、山中に車の出入りが多いことが分かる。
その駐車場に入り、トイレに行こうと準備する母を横目に、父は車の周りを車内からジロジロと見ている様子があった。
母「あなたどうしたの?さっきから変よ?早くトイレに行きましょ!」
もう我慢の限界と言った、苛立ちを隠せない様子で父に話す。
しかし父は黙ったまま、母の声が聞こえていない様子で車の周りを見ている。
母「もう先に行くからねっ!」
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。