小柄で細身の人のみ狙う暴漢
投稿者:N (13)
私がいつも通り品出しの仕事をしていると、とある客同士の噂話を耳にしてしまった。
なんでも最近この辺りで暴漢で出たらしい。
被害者は何れも小柄で細身のひ弱そうな体型の人ばかりらしく、夜10時以降に出没するそうだ。
私はその話を同勤の先輩に話した。
「じゃあ、お前なんか標的にされるんじゃね。見るからに細いし小さいし」
先輩はそういって私を揶揄うと、客が並んだレジへ小走りしていった。
小太りで汗っかき、そしてちょっと不潔そうだけど割としっかりした恰幅の良い肩が揺れる先輩を見つめ、「確かに先輩くらいの体格なら逆に撃退できるな」なんて考えてた。
先輩に指摘を受けた通り私はなかなか小柄な方だ。
筋肉もないし、上背も平均に足りていない。
夜道なんかで私のシルエットを後ろから見たら、きっと格好の餌食に思われるに違いないだろう。
私は少し鳥肌を立たせながら仕事に没頭し忘れることにした。
終業後、ロッカールームから出た私は、既に帰り支度を終えてスマホをいじっている先輩を見かけて挨拶をする。
「お疲れ様です。まだ帰らないんですか?」
「おう、お疲れ。ちょっと一服しようと思って。送ろうか?」
「いえ、近いですし、大丈夫ですよ」
先輩は暫くの間私の腕をまじまじと見つめた後、「大丈夫か?」と半笑いで揶揄った。
一応、住んでるアパートはここから徒歩で10分とないし、私は足だけは速い。
それに万一その暴漢に遭遇してもそれなりには抵抗できるつもりだ。
いざとなれば格好悪いが声を上げれば問題ない。
「先輩も気を付けてくださいよ」
「俺は襲われねえだろ」
高らかに笑う先輩を見て、私は「確かに」と笑いながら相槌をうつ。
先輩と別れた私は人気の少ない夜道を歩いて帰る。
暫く進んだ後、路地へ入り、車通りのない狭まった通路を進み、その先にあるアパートを目指さなければならない。
疎らにすれ違う人の少なさに何度心細さを覚えた事だろうか。
私は脳内でドラマやアニメなんかの楽しい映像を妄想し、気分だけでも華やかなものへ切り替えていた。
そんな時、背後から等間隔くらいに響く、誰かの靴音が聞こえ始めた。
……そんなはずはない。
……なぜ私が?
……暴漢に狙われる理由はなんだ?
先輩が犯人なんじゃ・・・・
ためはち
先輩wwwww