木目の恐怖
投稿者:上龍 (34)
短編
2022/02/19
19:57
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中学の修学旅行で泊まった京都の旅館の話です。
教師の引率のもと一日のスケジュールを無事終えた私たちは、枕投げや怖い話大会で盛り上がった後、布団を並べて電気を消しました。
興奮に目が冴えてなかなか寝付けずにいた同級生たちも、一時間二時間と経過するうちに一人また一人と寝落ちし、遂には私だけが取り残されました。
布団にもぐってまんじりともせずにいると、視線の先の天井の木目が人の顔に見えてきて落ち着きません。ただの目の錯覚だと思うのですが……
決まり悪さから寝返りを打とうとし、身体が動かないのに慌てました。金縛りです。
視線の先の木目の模様はさらにハッキリし、人の目鼻立ちが浮かび上がってきました。
次の瞬間、木目から黒い腕が伸びてきました。心の中で「あっ」と叫ぶも虚しく、黒い腕が私の首を掴んでぐいぐい締め上げてきます。
苦しい、息ができない……。
天井板の木目が不気味に蠢いて笑いだし、黒い腕はさらに力を増していきます。
ああ、もうだめだ……。
意識を手放して再び目を開ければもう朝で、同級生は布団を片付け身支度を整えています。
昨晩の体験を訴えても誰も信じてくれず、困惑しきって頭上を仰いでぞっとしました。
私の真上に位置する天井の板が一枚、どす黒く染まっていたのです。
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小さい頃、木目や壁の模様が怖かったのを思い出しました