白のワンピースを着た髪の長い女性です。
どう考えてもこの場所には不向きな服装ですし、こんな場所は釣り人くらいしか立ち入りません。
幽霊だとすぐに判ったので荷物を抱えて走り出しました。
細い沢の中を水しぶきあげて全力で走ります。
後を追うように水の音がするので追いかけられている事がすぐに判りました。
振り向くと先ほどの女性が追いかけてきているのです。
50m程走ると急に静まり返ったので振り返りました。
すると、大きな岩の上から先ほどの女性が私を見下しています。
青白い顔からは生気が全く感じられません。
怖くて動く事も出来なくなりました。
ゆっくりと一歩ずつ後ろに下がって女性の動きを観察します。
すると次の瞬間、女性の頭がボールのように首から転げ落ちたのです。
まるで、けん玉の玉が落下するように見えました。
そして胴体の部分が前に倒れ込み水中に沈んでいったのです。
頭の部分は目を離してしまってどこに行ったか判りません。
水の中に落ちていない事だけは確認しました。
怖くなり、急いで沢を降りて何とか駐車場まで逃げてこれました。
辺りには観光客が沢山居てさっきの出来事が嘘のようです。
慌てて釣り具屋に駆け込み、先ほどの出来事を話しました。
すると、驚く事に年に数回は同じ体験をした人が居たんです。
怖くなり急いで自宅に帰りました。
道具を片付けていると鈴が見当たりません。
リュックに付けておいたはずですがどうやら逃げているうちに木に引っかけて落としたようです。
鈴はどこでも買えますし思い入れのある商品では無いので気にしませんでした。
朝から沢を登ったせいで体はヘトヘトです。
風呂に入ってさっさとベッドに入りました。
余程疲れていたのかすぐに睡魔に襲われ眠りにつきました。
ふと目が覚めて時計を見ると深夜の1時です。
布団に潜り込み、寝ようとした時です。
遠くから鈴の音が聞こえてきました。
怖