呪いは実在する
投稿者:with (43)
高校生になった俺は、F子の自殺のことなんてほとんど記憶の片隅に消えかけていて、毎日のほほんと青春を謳歌させているだけの自堕落な生活を送っていた。
同じメンバーとカラオケに行ったり、アミューズメント店で適度に運動したり。
勉強だけは苦手で人並み程度の成績を行ったり来たりと、本当に平凡な存在だった。
そんな日常の中で、俺は初めての彼女が出来た。
M子は、長い前髪を片側に分けた清楚系の美人で、初対面の時から不思議と俺に好意を寄せていたようで、俺はかなりアプローチを受けていた。
それでダメもとで告白してみたらあっさり承諾されて、晴れてカップルとなる。
Mはいつも昼食に手作り弁当を持参していたので、
「料理好きなん?」
「わりと得意だよ。よかったら明日から作ってこようか?」
「え、マジ?」
確か、こんな話の流れで今では毎日M子の手料理をご馳走になっていて、小学生来の付き合いのAにはバカップルなんて言われおちょくられていた。
「ねえ、俺くんは嫌な思い出とかある?」
不意にM子にそんなことを言われた。
一瞬、M子の瞳に負の感情を固めた沈殿物のような陰りが覗いた気がして、俺は肩を竦める。
「ごめん、なんでもいない。忘れて」
「お、おう」
何か悩み事でもあるのかな、なんて俺は呑気にM子の整った横顔を見つめていた。
M子と付き合って一ヶ月経過した頃合いから俺は体調を崩すことが多くなった。
偏頭痛から始まり極度の冷え症から夜はなかなか寝付けず不眠状態。
極めつけには変な夢を見た。
俺が佇んでいるだけの空間を俯瞰で眺めている。
「俺くん……俺くん……」と壊れたテープのようにリピートされる声。
足元に蠢く人影が腕を伸ばして俺の足にしがみつこうとしているところで、毎度目が覚める。
寝汗で火照った体、びっしょりと湿ったシーツ、鐘を鳴らしたような頭痛、どれも最悪な寝覚めだった。
それから俺は毎日のルーティンのように、悪夢から始まりM子の手料理を食べる、といった生活を続けていた。
M子と過ごす日々は俺の安らぎになっていた。
だが、俺の安らぎはすぐに壊されることになる。
「おまえ、F子って覚えてっか?」
「……F子?」
ある日、Aが突然話題にF子の名前を挙げたので、思わず間抜け面でおうむ返ししてしまったが、瞬時にかつての小学生時代の記憶が呼び起こされた。
女って怖いですな。
めちゃくちゃおもしろかった!!!
これはめちゃくちゃ怖い 一番怖いのは人間の感情だというものがわかる
当たり屋やんけ!
女ってって言わないでよ。女だけどこんな逆恨みストーカー女と一緒にされたくないわ。