夜の無人駅のホーム。
ネビリスは、ストップウォッチと高感度録音マイクを手に、じっと暗闇を見つめていた。
テケテケテケテケテケテケ
暗闇の向こうから、激しい金属音が響く。
常軌を逸したスピードで迫る、上半身だけの女の影。
手には巨大な鎌が握られていた。
「見いつけたあああ!」
普通なら、恐怖で足がすくむ。
しかし、ネビリスの脳内計算機はフル回転を始めた。
「素晴らしい! その移動速度!」
ネピリスは逃げるどころか、白衣をはためかせて一歩前に出た。
「肘と手のひらだけで時速150キロを維持するための、
摩擦係数と生体エネルギーの消費効率はどうなっているの!?
アスファルトとの摩擦熱で、その皮膚は炭化しないのかしら!?」
「えっ・・・・・・◯ねえええ!」
テケテケが鎌を振り下ろす。
キィィィィン!
ネビリスがサッと掲げたのは、チタン合金製の超軽量防犯シールド。
火花が飛び散る。
「作用・反作用の法則よ!
下半身(作用点)がないあなたのアタックは、
踏ん張りが利かないから質量分の推進力しか乗らないわ!
つまり、私の体重とこのシールドの剛性があれば、完全にベクトルを相殺できる!」
「な、なによこれ! 硬っ・・・・・・!?」
テケテケの腕が、衝撃で痺れる。
「さあ、次は運動エネルギーの測定よ! その腕の筋肉組織、1グラムあたりの出力を教えて頂戴!」
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