とあるテーマパークのベンチで、
仲睦まじい若い男女がじゃれ合っていた。
「ねぇ、ちょっと頭見せて」
「あっ、やっぱり白髪だ」
ぷちっ。
「痛っ!」
「ほら、白髪でしょ」
「でも、いきなり抜くなよ」
「だって白髪って、お爺ちゃんみたいなんだもん」
その様子を見ていた年配の女性が、隣の夫と顔を見合わせて微笑んだ。
「いいわねぇ、若い人は」
「仲良くするのよ」
そして、ふと思い出したように続けた。
「そういえば、先日このテーマパークで事件があったの」
「若い男女が喧嘩して、男の人が女の子を建物の外へ追い出したのよ」
「えっ? ひどーい!」
「もちろん男の人は、その場で連行されていったわ」
「当然よ。そんなことしたら……」
彼女は隣の彼氏を見て笑った。
「あなたは、そんなことしないよね? お爺ちゃん」
そう言って、今抜いた白髪を見せる。
「馬鹿野郎」
男は頭をさすりながら言った。
「俺はまだ145歳だ」
――2830年。
ユニバーサル・マーズでの出来事である。
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