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不思議体験

sさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

知覚変容の症例記録
短編 2025/07/01 18:18 1,687view
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ご注意ください※
この文書は知覚変容の症例記録です。
一部の読者に幻覚、自己認識の錯誤、あるいは*自我の反転*が生じる可能性があります。
はじまりがどこだったか、わからない。
けど、たしかに“呼吸が裏返る音”を聞いた。

夜。寝ていると、肺が内側にたたまれていくような音がした。

ぐちゅ、ぬちゃ、こく……って。
水じゃない。肉が喉を逆流してくる音。

翌朝、口の中に自分の歯がもう1本生えていた。
場所が違う。

舌の下。
肉の中に、歯茎ごと埋まっていた。
でもちゃんと神経が繋がっていて、痛覚がある。

そのとき思ったんだ。
ああ、これ、“俺のじゃない”。

この身体、誰かの記録を再生するための端末になってる。

▇▇:目が合う
森に入ったやつがいた。
名前はどうでもいい。お前でもいい。
彼は死体を見に来たんじゃない。

「なぜ死体が森に帰っていくのか」を見に来た。

彼は途中、鏡を拾った。
欠けた、銀の剥がれかけた手鏡。
それを見た瞬間、森の形が逆になった。

上に空はなく、“裏返った肉の層”が空を覆っていた。
木は脳の神経のように絡み、
地面は内臓の皺のように波打っている。

ここでは、
「あなたがどれだけ“あなたでいられるか”が試される」。

最初に奪われるのは“触覚”。
次に“言葉”。
最後に、“わたし”という単語の意味が消える。

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関連タグ: #声#記憶#鏡
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