違和感

常連のサラリーマンがいつもの終電に滑り込むと、ホームはガラガラ。
ベンチに座ると、どこからか「…こちら、来ませんよ」という静かな声。
そしてこの駅の時計はいつも5分進んでいる。
階段から現れた“男性駅員”。走ってきたはずだが息も乱れてないし、淡々とした語り口が異様…

駅員に誘われてホームを移動すると、なぜか車両は“ラッシュ並み”の混雑。
普段の終電とは全く違う､､､無表情でじっと見つめる乗客たちの視線が冷たい 。

駅ごとに、誰もが降りていく。でも地面に立つ“その人の影”だけは残る。

やがて車内は自分一人。気づけば車掌も乗客もいない。
ただ白く冷たい空間。すると、不気味なアナウンスが耳元でぼやっと聞こえる… 。

しばらく経つとスマホから「もうホーム変わったよ、降りろ。」と聞こえてきた

降り立ったホームにはスマホの電波なし。手には意味不明な切符が貼り付いていた。
『片道乗車券：久環 → 現実』。切符は翌日から痕跡もなく消える 。

翌日、最寄り駅でそこにはあの“久環”で見た顔と同じ男がベンチに座っている。

そう彼は駅の時計の5分間から抜け出さない限り永遠と同じ電車に乗り続けることになる。