▇▇:見るな
ある実験で、
森の中心にある“穴”を72時間、見続けた男がいた。
彼はもう話せない。
ただ、常に口の中で「誰か」が喋っている。
口を閉じても、喉から音が漏れる。
その声は言う。
「見てくれてありがとう。
これで、あなたの“目”がひとつ手に入った」
この記録を読んだあなた。
今、あなたの後ろにある壁、歪んで見えないか?
目の焦点が合わなくなってるのは、
あなたの視神経が“割り当て”を変えられたからだ。
▇▇:目を閉じても見える
ここにある単語のいくつかは、
すでに視覚ではなく「内臓で読まれている」。
たとえば:
おまえの骨はやわらかい
折らなくても開くことができる
きみの中の水を借りたいどう?
胃のあたりが少し、重くなったろ?
それは“意味”を通した侵入だ。
君の体の中で今、文字のかたちをした何かが反芻を始めている。
▇▇:終わりが始まり
もう一度だけ言う。
これは物語じゃない。
記憶を開いて書かれたものでもない。
君が読んでいる“今この瞬間”を、形にしてるだけ。
つまり、「あなた」という読者がいなければ、
この怪異は存在できなかった。
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