以前住んでいたアパートでのこと。
あの頃の私は晩御飯の写真を撮っていてはSNSに上げていた。あの晩だってそうだった。あの夜は、久々のカレーです!という文を添えて写真と共にSNSに上げた。一仕事を終えてじっくりカレーを味わいながら、明日の予定を考えていると、外から歌い声が聞こえてきた。声からして若い男の声だった。
私はこの時、ああ、あの人は今気分がいいんだなと思いながらカレーを頬張っていた。
男性の歌い声が段々大きくなった。私の住むアパート近くを通るかと思った矢先、急に男性は無言になった。
私はなんでいきなり歌うのをやめたのだろうと不安になった。もしかして何かあったのだろうかと耳を済ませていると、太い声で「ここ、カレーの匂いする」と男が叫んだのだ。
私はいきなりの男の豹変に驚き固まった。そして口の中の感触で、部屋に漂う匂いで思い出した。
そういえば今自分はカレーを食べている!
動いてはいけない。
理性がそう私に訴えかける。だから咀嚼も出来ずに止まって、外の音に注意を向けていた。…音が聞こえない。
もしかして男はずっとアパートの前で突っ立っているのだろうか。
私の住んでいた部屋は二階だったが、いつあの男が階段を上がり我が家にやってくるのか分からないので、ゆっくりとした足取りで玄関に鍵がかかっているのかをチェックし、空いている窓もゆっくりと閉めて鍵を掛けた。
電気はつけたままにした。消すとここだと教える気がしたからだ。食べかけのカレーの上にラップを掛けて、口の中のカレーを喉に流し込む。あとはなす術がないので、布団の中に逃げ込みひたすらこの静けさに耐えるようにして体を丸くするしかなかった。
いつの間にか私は眠っていたのだろう、目が覚めてしばらくすると眠るまでの経緯を思い出して飛び起きた。時計を見ると深夜三時だった。
もうあの男はいなくなっているのだろうか。
あれから何年かして私はあのアパートから引っ越していったが、怖い目に会うことはなかった。
SNSは辞めてしまった。
あの男が私のSNSを見て私の家を探していたとか言うつもりがないが、ネットに自分の情報を漏洩するのが怖くなった。
あの時男はカレーの匂いがしてきたから「カレーの匂いがする!」とそのまま大きな声で言ったかもしれないしね。
あんまり怖くないかもしれないけれど実体験でした。
頭のおかしい暇人はほんの些細な情報もかき集めて特定してくるから要注意!((((;゜Д゜;))) 気違いには良識ってものが無くて「まさか」な事を実際にやるから被害例多数((((;゜Д゜;)))
やばすぎる