なーんだ。
投稿者:haruton (25)
短編
2024/09/10
00:08
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母から聞いた話を1つ。
今から10年前の冬の季節。
仕事が終わり母は帰路に着こうとしていると、背後から足音が耳に入ってきた。同じ帰り道なんだろうと思い、その時は気に止めなかった。
だが、しばらく歩いていると、まだ後ろから足音が聞こえてくるのだ。まだ帰り道が同じなんだと、少し怖かったけれど、気にしないようにしたんだって。
まだ。
まだ。
まだ着いてくる。
何分経ったのかは正確には分からないけれど、後ろの人はもしかすると……自分のあとをついてきているのかもしれない。
ここは振り向いてみるか。
私はかなり大胆な発想をするなこの人、と思ったけれど確かに後ろが気になって仕方ないのは分かる。母は清水の舞台から飛び降りるような気持ちで振り返ったそうだ。
そこには男が立っていた。
中背中肉の、サラリーマン風の中年の男が母の顔を見て一言。
「なーんだ。おばさんか」
男はすたすたと母の横を通りすぎていった。
母は
「おばさんって酷くない!? 自分もおじさんの癖に!」
って言って怒っていた。
おいおい。そこじゃないでしょ。
突っ込む所は。あんた若かったら危なかったんだぞ、と内心私はヒヤヒヤしたのを覚えている。
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