見えてるの?
投稿者:となりのコロロ (9)
去年の冬、兄の家に家族と集まって食事していたとき兄がこんなことを話し始めました。
「最近よく○○(兄の息子)が誰もいないところを指差すんだよ。悪ふざけなのか判別つかないんだけど、いきなりやるから結構不気味なんだよな…。」
兄には5歳の息子がいて、その息子が時折寝る時間にベランダを指差したり、食事中にキッチンを指差したりするらしいです。
結局その話を皮切りに各々の怪談話が始まったので従弟の話は流れましたが、無性に先程の話が気にかかった私は、食事の後従弟を寝室に呼んでみました。
寝室に入ると私はベランダを指差し、
「あそこに誰かいる?」
と従弟に尋ねると、少しニヤッとして従弟も同じ場所を指差しました。
そのとき私の中で一つ疑いが生まれました。
もしかしたら従弟は誰もいないところに指を差すことで大人たちがリアクションすることを面白がってやっているんじゃないか。
私はその疑いを確かめるために先程従弟が指を差した場所とは別の場所を指差して訪ねてみました。
「あそこにも誰かいる?」
するとやはりおもしろそうに従弟は私が示した場所を指差しました。
次はクローゼットを指差して、
「あそこにも誰かいる?」
今度はケラケラ笑いながら従弟はクローゼットに指を差しました。
ああ、やはり面白がって見えてないけど見えているふりをしていたんだなと、その日私は結論付けました。
時は少し進んでつい先日のことです、おばあちゃんが亡くなりました。
兄の一家も火葬に参列していたのですが、火葬が始まったあと控室で待機していると、従弟が外の青空に向かって
「おばあちゃーーん」
と手を振り始めました。
家族たちは最初驚いてはいたものの、
「おばあちゃんに会えて良かったねー」と笑っていました。
魂が空に向かって飛んでいくというという情報を従弟がどこからか仕入れていたということも無
くは無いですが、
子供には霊感があるのかもと私が信じるきっかけになった体験でした。
ちなみに、兄の寝室で従弟が指を差した先に何がいたのかは今でも怖くて本人に聞けてません。
兄の息子は従弟ではなく甥。